第3話 新天地ゲルニア領

スレイガー邸を出て10日経つ、とっくにゲルニア領に入った、レイブン曰くあと少しで着くらしい


 暇だし、この10日間で分かったことを話そう




 まずラステリア家は俺が向かっているゲルニア領の領主の貴族だ、スレイガー家より少し地位が低いが物腰が柔らかく、他の貴族や領民から好かれているらしい


 


 それと魔眼の事だ、魔眼というのは、魔力を流すことで真価を発揮するらしいレイブン曰く「魔術とは少し違うが魔力を使うのは同じ」らしい。




 あと最も大事な事だ、俺が住むラステリア邸だが、レイブンの考えでは当主が俺のことを決めるらしいまぁ当然と言われればわ当然だな




 「見えてきましたよ、あれがゲルニア領の町セントムです。 」




 ほー、なかなか賑やかな町だ、俺がいた、王都と比べれば色がないというか地味だが領民が痩せているわけでもない、笑顔が目立つ街だ




 「着きました、ここがゲルニア領をおさめるラステリア家当主が住まう館でございます」




 へーなかなかでかいじゃないか、スレイガー邸よりは少し小さいが中々良いな、この家の当主が俺のお祖母ちゃんか〜俺もそれなりに権力あるのかな〜エヘヘ




 「ありがとうございます、で、僕はどこへ行けば良いのでしょうか? 」




 「はい、これから当主であるエリザート様にご挨拶を伺いますので、私についてくるよう、お願いいたします」




 挨拶か、まあ当然か、俺のようなかわいい孫が可愛く「お祖母様、館も金も全部くれ」と言えばくれるだろうか? いや、やめておこう




 館の内装は、いたるところにラステリア家の家紋らしきものがあり、高そうな飾り物、高そうな本


 


 そして何よりメイドだスレイガー邸では二人しかいなかったがこの屋敷には六人いる、やはり綺麗なメイドが並んでいる光景は美しいな




 コンコン




 「失礼します」




 「お入りなさい」




 一番高そうな扉の中にいたのは50手前ぐらいのおばさんだった、異世界らしく、年齢に反し、若く見えるとかではなかった


 


 「私は、ラステリア家当主、エリザート・ラステリアです。 あなたがミリスティーナの息子のパラディですね? 」




 「はい! 初めましてパラディ・ラステリアです」




 そう返す、前までスレイガーと名乗っていたから言い慣れないが、ラステリアと名乗らなければまた同じ説明をされる




 「王都からゲルニア領までご苦労、手紙通りの子ですね。 」




 はて? ミリスティーナは俺を何と 




 「僕は何と書かれていたのですか? 」




 「賢く、愛嬌があり、礼儀も良く、三歳にして文字を理解し読み書きができる、自慢の息子だと手紙に書いてありました。」




 確かにそうだろう、中身15歳だし、それぐらいできて当然だ、だが自慢の息子なら家から追い出したりしないだろ


 


 「そんな事はないですよ、まだまだです! 」




 「そうですか、これからはあなたもラステリア家の一員です。 期待しています。 」




 おっなんか、期待されたぜ、俺は期待を裏切るのは大得意だから、少し心配だが、それなりに答えよう




 「はい、期待に答えられるように頑張ります! お祖母様」




 「それではレイブン、パラディをピレッジの元へ連れていきなさい」




 「かしこまりました」




 え? 何いってんだ? 俺はこのばあさんとメイド達と暮らすんじゃないの? 




 「え? 僕はここで暮らすのではないのですか?」




 「いえ、あなたは叔父であるピレッジ・ラステリアの元で暮らします。 」




 は? 叔父さん? 叔父なんかいたんだな、つまり叔父さんはここに住んでないから叔父さんの家へ行けと言うことか、なるほど




 「では、失礼しました」




 「し、失礼しました」




 叔父の家か、ピレッジだったか? ミリスティーナから聞いた話ではエリザートの所へ行くと言っていたが、それはラステリア家で面倒を見るということか




 「ここから少し掛かりますので馬車にお乗りください」




 と言われてまた、馬車に乗る、正直馬車には当分乗りたくないのだが、しょうがないか


 


 ピレッジかどんな人なんだろうか少し不安だ、レイブンに聞いてみよう


 


 「ピレッジ叔父さん? はどんな方なんですか?」




 「ピレッジ様はラステリア家長男でございます、ミリスティーナ様の弟様でも、ございます。 」




 「なるほど……ご家族はいるのでしょうか? 」




 そうか、ミリスティーナの弟かだが、俺はそんな事を聞いているのではない、ピレッジには家族がいるのか、ピレッジはどんな性格なのかを知りたいのだ




 「ええ、ピレッジ様には、奥様のイステル・ラステリア様、娘のライネス・ラステリアお嬢様の妻子がおります」




 おー! 娘? 娘がいるのか! 絶対俺のヒロインにしてみせるぜ!! よっしゃ、パチンコで言えば赤保留ぐらいの信頼度だぜ




 「娘さんとはお友達になれますかね? 」




 そう言うとレイブンは自信満々に言った 




 「ええ、ライネス様はお優しい方です。 きっとなれますとも」




 よし、とにかく陰キャ感を隠せば友達ぐらいには、なれるだろうそこから、少しずついい感じの仲になろう




 「着きました、あちらのピレッジ様の屋敷でございます」




 ほぉー立派な屋敷じゃないか、広い庭の花壇には鮮やかな花が咲き、玄関のドアにはラステリア家の家紋がでかでかと彫られてある




 「緊張します」




 「心配は、いりませんピレッジ様もイステル様もお優しい方です。 」




 クソ、陰キャ特有の緊張感を感じ始めた




 こうゆう時は深呼吸だスーハスーハ




  コンコン




 「ピレッジ様、パラディ・ラステリア様をお連れしました。 」




 こいつ俺が深呼吸してる途中なのにノックしやがった、まだ心の準備が




 「はい、どうぞこちらへ」




 「し、失礼します」




 「それでは、私はここで」




 えっレイブン一緒に来ないのかよ         


 やばい、緊張が一気に増した




 「パラディ様、こちらへ」




 不安げにしてると使用人に催促された




 「はい」




 屋敷の廊下を歩く、その途中使用人が自己紹介をしてきた、俺は緊張し過ぎで頭に入らなかったがこの使用人の名前はダイナというとらしい




 ダイナさんか、可愛い顔だな、ラステリア家の者として権力を使って寝室にでも、潜り込んでおねショタプレイでも楽しもうかなゲヘヘ




 最低な現実逃避をしていると、屋敷のリビングらしき所に通された




 「ピレッジ様がおいでになるまで、腰掛けください」




 と椅子に座らされる、中々きれいな部屋だものが少なく本当に飯を食べるだけの所らしい、壁には子供が書いた物らしき作文? がある




 「やぁ、待たせて済まないね」




 と言われたので素早く立ち上がり挨拶をする




 「いえいえ初めましてパラディ・ラステリアです」




 完璧な挨拶をかます




 「はい、初めましてパラディ君、僕はピレッジ・ラステリア、姉さんの弟だから君の叔父さんだね」




 なんだか物腰が柔らかい、男が出てきた、ミリスティーナに似て顔が優しげだ




 「話は聞いたと思うけど君の面倒は当分こっちで見ることになった、よろしくね」




 「はい、よろしくお願いします、魔眼を持つ身では、ありますが、ラステリアの者としてお祖母様の期待に答えます。 」




 よし人間第一印象が大事だ、初めは、魔眼を持って産まれただけで家を追い出され、親に捨てられたが、前向きな憐れな甥という感じでいこう




 「うん、素直そうな子だ、母さんや姉さんが好評する訳だ」




 「いえいえ、お母様には、嫌われてしまったらしくて……もう会えないと…………」 




 ポロポロ




 こうゆうこともあろうかと俺は涙を流す練習をしたんだ、よしどっからどう見ても親に捨てられた哀れな子だ




 「あっごめん、今姉さんの話を出すのはだめだったね、ごめん」




 よし作戦は成功だ、ハハハ




 「あなた! 何をしているの子供を泣かして、言って良い事と悪い事ぐらいわからないのですか!? 」




 なんだ? この女




 「あの……」




 「ごめんね〜パラディ君ピレッジは少し頭の足りないところがあるから」




 なんか謝られた、もしかしてこの人がピレッジの妻かなるほどな




 「いえ、全然すみません、泣いてしまって」




 と言いながら涙を拭う、ピレッジは俺に謝り続けている、ピレッジがイステル? に連れていかれる




 もう意味がわからない、いや元々は俺の名演技が悪いんだがこんなことになるとは




 五分程だったピレッジがやつれた顔で戻ってきた




 「す、すまないね、もう大丈夫だからね」




 え? 何が大丈夫なんだ?




 「はい、ピレッジ様こそ大丈夫ですか? 」




 「あぁ、大丈夫、慣れているから」




 慣れているのかピレッジの家はイステルの方が力があるんだな、こっちでは珍しいがかかあ天下と言うやつらしいな




 「さっきの方は? 」




 「あぁ、僕の妻、イステルだよ、全く君も結婚相手はよく見分けたほうがいい、家庭に入った途端、豹変するからね」




 「あなた? 何か言ったかしら、よく聞こえないのだけどもう一度言ってもらえる? 」




 「いや、何でもないよ! 」




 あー確定だな、俺よりも憐れだなピレッジ、そんな事を考えていると、イステルがピレッジに向ける怒りのこもった笑顔とは打って変わり優しげな笑顔で話しかけてきた


 


 「初めまして、パラディ君、ピレッジの妻、イステル・ラステリアです。さっきはピレッジが気に触れるような事を言ってしまってごめんなさい」




 「いえいえ、こちらこそ、面倒を見てもらう上に気を遣わせてしまって申し訳ないです。 」




 「まあー、なんてできた子なの? 良いのよ例えピレッジが拒否したところで私が許可するわ! この屋敷にいなさい」




 いや拒否されてないんだが、まあ、よし! これでイステルは、俺側に引き込んだぜよし!




 「イステル、もう遅いからパラディ君は眠らせてあげたほうがいいよ」




 「そうね、部屋まで案内するはパラディ君」




 「はい、ありがとうございます」




 ややこしい話を永遠とされるのがしんどかったので眠いふりをした、よし明日から俺の新新異世界生活頑張るぞ!


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