原国記

七星北斗(化物)

プロローグ 伝言

 人は大罪を犯した。


 禁忌を破るのは、人間の性なのかもしれない。


 人は何故、空を求めるのか?


 自由な空への憧れか?それとも空を独占したい願望からくるのか?


 空は誰のものでもないし。あなたが考えるほど、空は自由なものじゃない。


 神聖なる鳥から翼を奪い、それを移植することで人は大空を飛ぶ力を得た。


 ある一族の翼を移植させた巫女の子は、必ず翼を持って生まれる。


 モルゴラ国北部、トガの村に生まれたシペン。


 昔馴染みのミーと共同で農作業をしていた。


 そこへ国の執行部である、アルガン機関の職員が現れた。


「その美しい銀色と白の間のような髪色、黄金色の意志ある目、やっと見つけましたよ。貴女様が、巫女様で御座いますね」


 何の話だろうと思って、ミーを見ると。表情は暗く沈みガタガタと体を震わせる。


「王が貴女をお待ちです。ご同行をお願い致します」


「行きたくない」


「ワガママは困りますな」


 そこへ慌てて駆けつけたミーの父が、怒りに満ちた声を上げる。


「ミーは関係ない。帰ってくれ」


「貴方には用は御座いません。邪魔をしないでいただきたい」


「行かない」


 ミーは背後に隠れ、ぶるぶると震えていた。僕の服の裾を掴んでいたこともあり、その震えが伝わってきて、ミーを守らなきゃと強く思った。

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原国記 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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