第5話 教授と調査

イリーナは、ジン帝国でやらなければいけない事がある。一つは帝国でリム商会の販路を拡大する事。それと、帝国大学院で博士号を取得する事だった。イリーナは流通学を専攻していた。帝国大学院には流通学で著名なオーブリー教授がいる。以前から何度か会った事があるオーブリー教授には、大学院への進学を打診されていた。彼に支持して博士号に必要な論文の作成を進める予定だった。


帝国大学院は、広大な敷地に、数々の建物がたっていた。イリーナは、整えられた大学院の敷地を進み、オーブリー教授の研究室へ向かった。


「おお、イリーナ嬢。よく来てくれた。待っていたぞ。」

オーブリー教授は、白髪の高齢な男性だ。その茶色い瞳は愛嬌があり、笑うと笑窪が頬にできる。


イリーナは笑って言った。

「先生。お久しぶりです。」


オーブリー教授は、イリーナに伝えてきた。

「さっそくじゃが、お主には手伝ってもらいたい事があるのじゃ。」


オーブリー教授が出してきたファイルの、帝国税収支表には沢山の数値が羅列されていた。


イリーナは言う。

「これは?可笑しいわ。明らかに足りない。」


オーブリー教授は言う。

「さすが、イリーナ嬢じゃな。そうじゃろ。おかしいのじゃ。一見して分からないようになっているが、所々金額が不足している。だが証拠もないし、誰がこんなことをしているかも分からない。」


イリーナは言った。

「帝国税局のトップは、、、」


オーブリー教授は言う。

「ジェフリー公爵じゃ。皇妃の生家で、古くからの忠臣だ。あの家がしたとは思いたくないがのう。もしジェフリー公爵家が関わっているのなら大変な事になる。」


イリーナは、オーブリー教授の調査に協力する事になった。


イリーナは、商業と効率的な利益の上昇について研究している。オーブリー教授から渡されたファイルは、売り上げは変わらないが利益だけが減少している。これがもし操作されたものならば、帝国に収められるはずのかなりの額の税金が消えた事になる。


どうして、イリーナに教授は伝えて来たのか?


オーブリー教授でも手が出せない人物が関係している?


(ジェフリー公爵ね?確か父の取引先に名前があったはずだわ。)


イリーナは、オーブリー教授の研究室を後にした。






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