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2024年10月29日 14:12 編集済
ああ、もう。読み終わったあと、私の心は見事に抉られていました。それはまるで、好井先輩の彫刻刀で、颯爽と刺されたようなもの。ここ最近、三嶋さんの小説を読ませていただいていますが、個人的にはこの作品が飛び抜けて好きです(もちろん、どの作品もそれぞれの良さがあります) 主人公が好井先輩に魅せられていたのは、奇行そのものにではないはずです。だって奇行だけを見ていたら「危ない人」で終わるはずですから。その行動の背景に、好井先輩がそう育つまでの「なにか」が香るから、ここまで魅力的な人間に映るのだと思います。 その「なにか」は、作中では明記されていません。家庭環境の悪さかもしれないし、経済的な問題かもしれません。なにか生きづらさがあるから不登校、退学へと繋がるのだと解釈しました。そしてその生きづらさを、無理に笑うことが好井先輩の、明るい芯になっているのでしょう。 今作では表現技法も光ります。地の文は鮮明に書かれている反面、会話文はゆるく一行ずつ空いています。作者が意識したかはわかりませんが、回想の中でシーンは思い出せるのに、声や会話がぼんやりと滲んでいるようで、余白にさみしさを感じました。 またタイトル「美術部で爆弾を彫る。」の最後の句点。これはこの先に文章が続かないこと、主人公の中で好井先輩とのあれこれに、続きがないことを表現してるのだと解釈いたしました。元カレが置いていった歯ブラシのような、どうしていいかわからない寂しさだけが手元に残る、良いタイトルだと感じました。 回想から覚めると、母校の先生として立っている叙述トリックも、最後にやさしい光り方をします。教室に眠る不発弾を想像して、彼があのとき爆破したかったのは、なんだったのだろうと、考えさせられました。苦しさから歪に精一杯生きた彼が、いまは無理に笑わないで過ごせていることを、心から祈っております。 余白を残す素敵な作品をありがとうございました。PS.私はポケモンならチョボマキが好きです。
作者からの返信
この作品を好きと言っていただき、ありがとうございます。実は、秋冬さんにたくさん読んでいただけていることが嬉しくなって、公開した次第でした。 仰る通りだと思います。好井先輩は素行の悪さではなく、彼の根本にある人柄でみんなを惹きつけていたのでしょう。 表現方法にもご注目いただき、ありがとうございます。昔を思い出しているとき特有の寂しさが香っていたならば、幸いです。 タイトルの「。」は個人的にも気に入っていました。秋冬さんに触れていただけて報われました。元カレが置いていった歯ブラシという比喩、非常に正鵠を射た表現で胸に残ります。応援コメントで秋冬さんの文学的な感性にいつも刺激されております。今回も参りました。 彼があのとき爆破したかったもの──そこまで考察を巡らせていただけたこと、作者冥利に尽きます。秋冬さんに本作を読み手としてここまで詳細に紐解かれたことは、好井先輩にとっても幸せだと思います。 この度も丁寧かつ心に残るメッセージをありがとうございました。泣きそうです。 チョボマキ可愛いですよね。BWやっていたので思い出深いです。私はグレイシアが好きです。
2023年6月30日 22:10
あなたの作風が大好きだ。あなたの作品のほぼ全てに♡を押してしまっている自分がいる。手が吸い寄せられるのだ。
読んでいただき、コメントもありがとうございます。
2023年1月16日 10:09
好井先輩の去り方がとてもかっこよくてとてもよかったです。私もこんな青春あったらなぁ〜〜なんて思いながら読み進めちゃいました。後個人的にポケモンの中でピチューが一番好きな子なので、出てきた時はびっくりしました!
キノ猫さん本当にありがとうございます😭😭😭キノ猫さんに自作を読んでいただけるなんて夢みたいです……嬉しすぎてやばいです!!あのキノ猫さんにですよ……!?フォローもありがとうございます😭😭今日は一日ハッピーに過ごせそうです!!キノ猫さんもですか!自分もピチューが一番好きなので、なんか嬉しいです!!
編集済
ああ、もう。読み終わったあと、私の心は見事に抉られていました。それはまるで、好井先輩の彫刻刀で、颯爽と刺されたようなもの。ここ最近、三嶋さんの小説を読ませていただいていますが、個人的にはこの作品が飛び抜けて好きです(もちろん、どの作品もそれぞれの良さがあります)
主人公が好井先輩に魅せられていたのは、奇行そのものにではないはずです。だって奇行だけを見ていたら「危ない人」で終わるはずですから。その行動の背景に、好井先輩がそう育つまでの「なにか」が香るから、ここまで魅力的な人間に映るのだと思います。
その「なにか」は、作中では明記されていません。家庭環境の悪さかもしれないし、経済的な問題かもしれません。なにか生きづらさがあるから不登校、退学へと繋がるのだと解釈しました。そしてその生きづらさを、無理に笑うことが好井先輩の、明るい芯になっているのでしょう。
今作では表現技法も光ります。地の文は鮮明に書かれている反面、会話文はゆるく一行ずつ空いています。作者が意識したかはわかりませんが、回想の中でシーンは思い出せるのに、声や会話がぼんやりと滲んでいるようで、余白にさみしさを感じました。
またタイトル「美術部で爆弾を彫る。」の最後の句点。これはこの先に文章が続かないこと、主人公の中で好井先輩とのあれこれに、続きがないことを表現してるのだと解釈いたしました。元カレが置いていった歯ブラシのような、どうしていいかわからない寂しさだけが手元に残る、良いタイトルだと感じました。
回想から覚めると、母校の先生として立っている叙述トリックも、最後にやさしい光り方をします。教室に眠る不発弾を想像して、彼があのとき爆破したかったのは、なんだったのだろうと、考えさせられました。苦しさから歪に精一杯生きた彼が、いまは無理に笑わないで過ごせていることを、心から祈っております。
余白を残す素敵な作品をありがとうございました。
PS.私はポケモンならチョボマキが好きです。
作者からの返信
この作品を好きと言っていただき、ありがとうございます。実は、秋冬さんにたくさん読んでいただけていることが嬉しくなって、公開した次第でした。
仰る通りだと思います。好井先輩は素行の悪さではなく、彼の根本にある人柄でみんなを惹きつけていたのでしょう。
表現方法にもご注目いただき、ありがとうございます。昔を思い出しているとき特有の寂しさが香っていたならば、幸いです。
タイトルの「。」は個人的にも気に入っていました。秋冬さんに触れていただけて報われました。元カレが置いていった歯ブラシという比喩、非常に正鵠を射た表現で胸に残ります。応援コメントで秋冬さんの文学的な感性にいつも刺激されております。今回も参りました。
彼があのとき爆破したかったもの──そこまで考察を巡らせていただけたこと、作者冥利に尽きます。秋冬さんに本作を読み手としてここまで詳細に紐解かれたことは、好井先輩にとっても幸せだと思います。
この度も丁寧かつ心に残るメッセージをありがとうございました。泣きそうです。
チョボマキ可愛いですよね。BWやっていたので思い出深いです。私はグレイシアが好きです。