35〜自慢の乳首なのに見せたくない乙女心を理解せよ!

王子の言葉を整理しよう。

王族にはいにしえの伝説が語り継がれていて、400年前の魔の民侵略戦争時の話も、直系の子孫の私すら知らない当時の英雄の年齢まで言及した程なので、それなりに詳細な内容が伝わっている模様。


そして彼は禁レシピを使えば、世界征服が可能と言うのだが、その事実自体はそれを封印した理由として私も聞いている。

問題は、それは強力な魔力を有するものが使用した場合に成せるようで、それと関連付けるように、強大な魔力を持つ坂倉さんに興味深々だったことだ。


それだけの情報だと、どうも王子が坂倉さんを懐柔して世界征服したいって話になるのだけど、仮にそんな野望があったとして、彼女が言うことを聞くわけもないし、むしろ使いたくないようなことも言っていて、更に付け加えればエッチな魔法ということなので、一体どうすれば世界征服など可能なのかも謎なのだ。


まぁ私のが思いつく程度の憶測なんて、そんな的を得ることもないだろうから、あまり考えても仕方ないのだけど…


「お湯溜めてくる」

坂倉さんがそう言ってお風呂場に向かう。


部屋は天井から下がる豪華なシャンデリアや、壁に備え付けられている電灯が暖かい色で包んでいる。


「どうする?一緒に入る?」

お風呂場の方では、蛇口から湯船にお湯が落ちている音がし、そこから出てきた坂倉さんが即答しかねる質問をしてきた。

「い…一緒にです?」


私は顔も背丈も人に誇れるような部分などないが、乳首の色だけは自信があった…が、やっぱり羞恥心が払拭できずに、

「ごめんなさい、恥ずかしいから…」

と言うと、

「じゃどっちから入ろう?」

そうアウターを脱ぎながら彼女は言うのだが、シャツだけになった途端に胸の盛り上がりが露わになって、私の視線は釘付けになってしまう。


今!一緒にお風呂に入れば!あの柔らかい膨らみの中が!匂いを感じるほどの間近で!見られる!

そう何かの宣伝文句みたいな欲望が頭を渦巻いてしまい、羞恥心とのバトルを繰り広げていた。


「じゃ私から入るぞ」

そう言って坂倉さんは、腕を後ろに回し手を組んで胸を突き出すようにストレッチしながら、

「んー!」

と気持ちよさそうに身体を伸ばすのだった。


その胸を強調するようなポーズが、いや、私の視線を理解して誘うようなポーズが、羞恥心と理性を一緒に頭から追い出そうとしている。

彼女は着替えとタオルを持って脱衣所に向かって行くが、そこに入ってしまう前に決断しないといけない。


「でも、魔の民を倒したら、一緒に入ろうな」


そんな彼女の言葉に私はハッとした。


脱衣所は、暖房の風と湯船に落ちるお湯の音で若干騒がしくもあるが、部屋よりも暖かく、服を脱いでも寒さに震えることはないようになっていた。


そこで私は坂倉さんに服を一枚一枚と脱がされているのだった。

そう、彼女の言葉にハッとした私は、戦争で万が一というのが一瞬頭によぎり、いても立ってもいられなくなり一緒にお風呂に入ると言ってしまったのだ。


坂倉さんの美しく優しい手が、私のパーカーをカゴに入れると、次はハイネックのシャツを下から捲る。

特に脱がせてと言った訳ではないのだけど、自然と彼女は私の服に手を掛けてきたので、そのまま身を任せていたらそうなったのであるが、そういえば、最初に香林坊に行く時も私の着替えを彼女がしようとしたことを思い出す。


シャツを脱がされた私は、上半身が下着だけになり、それのホックを外そうと手を後ろに回すために、彼女の顔が肩口に来る。


こんなにドキドキしたことはない、というくらい心臓が高鳴っているのだが、彼女は手慣れているのか、私の両手を自分の肩にかけると、そのまま下着の肩紐を自分の方に寄せて、左右順番に外していく。


そうすると大きくはない胸が、彼女の目に晒されてしまうのだった。


ちょっと恥ずかしいが、隠すこともせずに下を俯いたまま静かにしていると、時間が止まったように、服をぬがしていた手が動かない。


絶対私の乳首をガン見してる。

きっと、この自慢の突起を見てうっとりしているに違いない!


確認しようと顔を上げると、美しい坂倉さんは我に帰ったように再び私を脱がし始めるのだった。


ズボンのボタンを外し、チャックも下ろし…と、そこで思い出した。

今日もダサいの穿いてたことを!

でも時すでに遅しであった。


無惨にもズボンを下ろされて、その年頃の女子が穿くことはないような下着まで彼女の目に晒されて、恥ずかしいのか、痴態披露に目覚めたのか、果てしなく胸の鼓動が早くなるのが分かる。


ズボンを一番下まで降ろされると、坂倉さんは私のお尻に手を添えて、倒れないようにしてから片足ずつズボンを脱がしていく。

そしてとうとうパンツ一丁にされてしまうのだった。


そしてその最後の一枚を脱がそうと彼女はしゃがむのだが、再び時間が止まったようにマジマジと繊維の目のひとつひとつまで観察する勢いで見ている。


さすがに恥ずかしいので、

「さか…くらさん?」

と呼びかけると、

「悪い、もう少しで舐めるとこだった」

などと危険な言葉を発してくる。


彼女はゆっくりと、私のダサいパンツに手を伸ばし下げていく。

先のマジマジ観察の近さに顔を置いたままなので、それこそ舌を出せば舐められる位置で脱がされる訳で、しかも一番恥ずかしい部分とあって、思わず腰を引いてしまうと下着は裏返しになって肌が触れていた部分が彼女の目の前で露わになってしまった。


一番恥ずかしい脱がされ方を、最後に自分のせいでやらかしてしまったと思って私は固まってしまっていた。

そしてそのまま、下まで降ろされると、先のズボンの時と同じようにお尻に手を添えて、片足ずつ抜いていくのだが、今度は生尻を触られている訳で、もう頭も心臓の鼓動も訳が分からなくなっていた。


そんな官能なのか羞恥プレイなのか分からない私を、脱がしたてのパンツを持ったまま見つめる彼女。

ハッとして、思わず、

「上げません!」

と赤い顔で大声で言ってしまうと、無茶苦茶残念そうに、カゴに入れるのだった。


いや図星かい!

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