11〜女子軍団はその時、全裸女子ズとなる!

秋も深まり、紅葉の落ち葉が街を舞う中、学校が近づくにつれ徐々に学生の姿も多くなっていく。

あちこちから朝の挨拶と共に坂倉さんの友達が次々と合流してきて、いつものメンツが揃っていくのだった。


そんな途中から合流した友達たちに、私が寝れなかったことや、父親に会わせることをゴシップ記事のようにあることないことをわざわざ教えて、友達たちで勝手に盛り上がってしまっているので、私も一応否定しまくるも、

「ほっとけ」

と半ば呆れた感じで坂倉さんが言うので、それに従って放置していたが、何やら道を塞ぐ一団を目の当たりにして、ようやくその話題も止まるのだった。


「うわ〜怖い顔がずらりと」

そう友達のひとりが言う通り、その一団の女子たちは、こちらを…いや多分、私を睨みつけていた。


「山本優羽ってあなた?」

その一団のリーダー格であろう女子が、私の名前を呼ぶ。

昨日みんなが危惧した通り、斉藤さんのファンが私に何か言いに来たのだろう。


しかし、そんな大量の怖い表情の女子軍団を目の前にして、名乗り出る勇気などある訳もなく、黙りこくってしまっていた。


「何の用だよ?」

坂倉さんがそう言って、私の前に立ち塞がるように進み出ているが、申し訳ない気持ちになって更にその前に出ようと思ったけど、他の友達に肩を捕まれ阻止されてしまった。


「あなた超有名な坂倉莉里だよね?山本優羽を出してくれる?」

そう怖い顔の女子が言うも、私は友達に肩を掴まれてて出れません…

「だから山本に何の用だって訊いてるだろ?」

ああ、いつもの坂倉さんの口調で言い返してしまって、まさに一色触発になる予感が…


「斉藤くんにちょっかい出さないで欲しいんだけど」

と相手は言うので、出してないよ!と思っていたら、

「出してねーよ、何であんなキモい奴にちょっかい掛けるんだよ」

と坂倉さんが代弁してくれました。

いやっキモいとまでは思ってないけど…!


「何で坂倉莉里が答えるの?本人に答えてもらいたいんだけど?」

そんな相手の言葉に、私は一応坂倉さんの後ろで手を横に振ってちょっかい出してないよとジェスチャーをしているものの、

「お話にならないようだから、あれ出して」

と、軍団のリーダー格らしき人は他の怖い顔の女子に何かを出すように指示する。


「うわっ、あれ脱衣の呪符だぜ?」

友達のひとりが、軍団の誰かが使う呪符を見てそう言った。

私はその魔法が何かは分からなかったが、脱衣の意味だけは分かったので、何故か今日の下着なら…ああ…乳首の色も自慢できる…!?と思うも、いやこんなとこで脱がされたらダメじゃん、と焦り出していた。


相手は呪文と共にその呪符を飛ばすと、坂倉さんはそれに合わせて間髪を入れずレメディを自分の足元に叩きつける。


閃光が放たれた思った瞬間、何故か相手の一部の女子軍団の服がバラバラと繊維が解けるように崩れ落ちて肌が露わになっていく、と同時に悲鳴を上げるも者、恥ずかしい部分を隠す者、誰かの後ろに隠れる者など、突然服がなくなったことで騒然としていた。


「山本に手出したら、こんな程度で済むと思うなよ?」

坂倉さんはそう言いうと、女子軍団は何か言っているようだったが、友達のひとりがレメディを投げるフリをしたら黙ってしまったので、私たちはそのまま校内へと入っていくのだった。


「あの呪符魔法使ってた奴…前なんかの大会でその魔法で優勝してた奴だろ…?」

「私も知ってる、圧倒的な魔法でぶっちぎりだったろ…さすが莉里だな完璧に跳ね返すし」

と畏怖もあってか、友達たちは若干その笑い顔が引き攣っている。


なんか漠然と坂倉さんは凄いとは思っていたが、友達の会話でその想像を遥かに超えてるようで、更に

「いや〜反射魔法レメディは、あらゆる魔法原理を理解してないと出来ない代物なんだよな〜莉里しか出来ない芸当だぜぇ?」

と友達は関心しきりで言うと、

「相手が雑魚なだけだろ」

などと、いつもの様にぶっきらぼうに答える、それを聞けば聞くほど彼女の恐ろしい魔力の計り知れなさだけが膨れ上がっていくのを感じていた。


学校前での騒然とした雰囲気も気にせず歩く坂倉さんと私たちは、その当事者だったにも関わらず何もなかったように校舎へと入って、やがていつもの教室着いて、いつも席に座って、いつものように授業の準備をしていたら、またまたいつものように例の斉藤さんが寄ってきて、

「昨日は偶然香林坊で会ったけど、いつも下校時に寄ってるん?」

と訊いてきた。

私はいつものように、彼の顔を直視せずに前を見ていたのだけど、これまたいつものように、坂倉さんが斉藤さんに文句を言いに来るのだった。


そんないつもの感じの教室に、いつもと違う時間、まだホームルームではないのに、担任が足早に入ってきて、


「坂倉莉里!ちょっと教職員室に来てくれ」


その言葉に、そこにいた私と坂倉さんは顔を見合わす。


美しい坂倉さんの顔は若干眉間にシワを寄せて、めんどくさそうな表情をしてるが、彼女が今、先生に呼ばれるということは先の脱衣魔法の騒ぎのことだと、お互い容易に想像できるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る