第3話_ステ確認は最初にするよね

視界にはミニマップや方角を示すメーターなど最低限のUIが表示されている。

右手でこめかみに触れると、メニュー画面が開く

  

  [◆プロフィール]

  [名前:米俵 丸太郎]

  [称号:旅の魔導士]

  [職業:魔導士(ランクC)]

  [所持金:金/0 銀/0 銅/0]

  [固有スキル:???]

  [発動中のスキル:なし]

  [ステータス異常:なし]


これが基本ステータスか。

固有スキルが?になっているのはよくわからないな。まあ、いったんスルーで。

ページを送ると、装備と詳細なステータスが表示された。

  

  [◆装備]

  [魔導士のローブ:E]

  [旅人の服:E]

  [魔法の指輪:E]

  

  [◆ステータス]

  [HP:100][MP:300]

  [ATK:5][DFE:10]

  [INT:200][RES:100]

  [AGI :100][STR:50]

  

攻撃力よわ!

まあでも、魔導士だったらこんなもんか?初期装備だし。5って素手ならごついNPCにも負けそうだ。防御(DFE)も10しかない。ステゴロはやめておこう。

他は魔力(MP)が高めなのと魔法攻撃(INT)が高めにはなっているが他は平均かそれ以下って感じだ。


もう一度こめかみに触れるとメニューが消えた。

はえー。UIの操作は結構直感的で良いな。まさにアニメとかで表現されていたフルダイブゲームって感じで未来感もある。


さて、一通り確認もしたし、僕はとりあえず町を歩いてみることにした。


路地から出ると、そこは大勢の人が通る大通りだった。

いや、人と表現したが、姿は様々だ。

獣人のような毛むくじゃらもいれば、ロボットのようなものもいる。

多種多様なそれぞれが、まるで生きているかの如く歩いている。


本当にこれがゲームの映像なのか?

試しに自分のほほをつねってみたが全く痛くは無かった。

まあ、現実では体を動かしていないし、痛覚に関するフィードバックは、ゲームが制御しているらしい。例えば、歩いた際に足の裏に地面の感触が無ければ、人は上手く歩けないので、それに近い感覚を再現している。しかし、戦闘などで受けたダメージまで再現してしまうと脳に負荷がかかりすぎるのと、その仕様を悪用する者が現れる可能性があるため、触覚以外の感覚は発生しないようになっている。

つまり剣で切られれば、切られた部分に触れられた感覚は発生するが痛みは発生しない。今も頬に触れている感覚はあるが、その程度だ。


「なるほど。よくできている。これがフルダイブか」


ネットの記事や開発者のインタビューは散々見てきたが、体験してみるとあまりに違和感が無くて、本当に現実と錯覚しそうになる。長くプレイすると戻ってこれなくなるのではと懸念する人たちもいたが、実際危ないかもしれない。


自分の頬をもみもみしながら歩いていると、前方でなにやら騒ぎが起きているようだ。人だかりができていて、誰かが大声で何かを言っている。


少し近づくと人だかりの上空にクエストのアイコンが表示された。

なるほど。こういう感じでイベントが開始され物語が進んだりするらしい。

さらに近づくと、人だかりの数人が僕に気づいた。


「おい、あれって魔導士の紋章だろ?」


「本当だ、このお方なら何とかできるかもしれない」


目の前にポップアップが現れる。

 

  [どうした?]

  [私は魔導士ではない]


うーん、とりあえず話聞いとくか。

[どうした?]のポップに触れると人垣の合間を縫って、一人の男が前に出た。

兵士のようなかっこをしている。


「あんた魔導士なのか?た、助けてくれ!ワイバーンの群れがこちらに向かっているんだ!この町を守ってくれ!」




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