第4話 ドキッはじめてのよる!(腰大激痛)

寝る…睡眠は大事なことである。


人は眠らないわけにはいかない。

いや~今日寝てないわーみたいな感じで、徹夜を自慢している大学生とか高校生くらいの子たちでも、流石に栄養ドリンクなどを駆使しても三日くらいが活動限界だろう。

というか私が過去課題に熱中しすぎて気絶するように寝たのがそれくらいだった。

もしかしたらもっと起きていられるぜ!という人もいるのかもしれないが、少なくとも自分の友人知人も大体それくらいで睡魔に負けた。


20代も半ばを過ぎると、徹夜がものすごく響くようになったのも覚えている。

学生時代は一日徹夜はそこまでつらくなかったが、社会人になってからは、職場のハードさもあったかもしれないが、睡眠を欠かすとびっくりするぐらい体調と物事を処理する力がガタ落ちしたのを覚えている。

そして夜勤といっても今はたまたま連休が取れていて、深夜3時くらいには眠ろうと考えていた。その調整もしていたので、正直ものすごく眠い。


なぜこんなにも睡眠について考えているのか。



この何しても痛い状況で、ほんとにちゃんと眠れるのか?



ふと思い立った疑念が、半ば確信のように


『無理』


の二文字を突き付けていることから全力で目をそらしたいのだ。


「うぅ…うー!」


またしてもばしん、と枕に拳を振る。今回は痛みと悩みのダブルセットだ。

いまだに続く痛みに身をよじりながらも、土下座フォームによって少しは冷えた頭でこれからについてを考える。

まず真っ直ぐの姿勢で眠ることは無理だ。

あおむけもうつ伏せも不可能であることは先ほど身をもって知っている。

横向き…そのうえでなぜか痛い左足は上にして…となると右向きに眠ることになる。

だが足はまっすぐには絶対にできない。土下座フォームの状態でも足をのばそうとするだけで、肉離れのような痛みが走る。


しかしどうにかしたいのはずっと続く腰の痛みだ。

これを抱えたままで寝ることは不可能。

どう考えても実際無理である。腰が爆発したと思った痛みがほんのり弱くなっただけでまだ絶賛小爆発中みたいなものがずっといるのだから。


どうにか、何か策はないか。

痛みに対する策は。


痛みや苦しみにあえぎながらも、活路を見出そうと必死に策をめぐらせる

と書くとなんだか格好がつくが、実態としては


細かくうめく土下座フォームのアラサー


である。

実際こうやって無駄なことだったりしょうもないことに思考を回さないと、痛みに全部持ってかれそうで仕方がなかったのを覚えている。


だが眠るとか抜きにしても、何考えてもどう考えても痛いな…

そう思っていた時、ふと思い出した。


「…胃潰瘍の鎮痛剤…!」


最近すっかり使用しなかったのでその存在をほぼ忘れていたが、消化器で病院にお世話になっていた時の薬の残りがあることを思い出した。

本来はあまりよくないのだろう。もちろんわかってはいるが、背に腹はかえられない。なりふりもかまっていられない。

何よりもらっていた鎮痛剤は、眠気を誘引するタイプのものだった。

もしかしたら、さんざん悩んでいた睡眠どうする問題の回答にもなるかもしれない…!


そう思った瞬間に、爆発した腰をかばいながらあたりを少し見まわす。

そして、目当ての鎮痛剤を置いてある場所を見つける。


おいてある場所は、今土下座フォーム中のベッドから、数歩程度歩いた先の薬箱。

その時の私にとっては、断崖絶壁に思えてしまう距離。




腰が爆発した土下座フォームのアラサー、限界(当時)への挑戦だった。

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