第14話 モテ期到来

 結局、サミタミ先生の授業後は、何もないまま夕食の時間となった。


 リリーさん、お帰り。食堂まで案内してもらった。メイドサミットなんて無かったよね?

 いつもよりちょっとパーソナルスペースが近いね。

 胸、当たってるよ!わざとだそうだ。熱いハグなどすることなく、食堂に到着。



 会場に入るやいなや、あのコックさんと目があった。

「17番に、この皿を」とかの準備をしてくれるのだろうか?

 ワクワクすっぞっ!


 見渡すところ、昨日居たという貴族様は、本日はいらっしやらない様子。

 

 現場職人グループと、バス内被害グループとで別のテーブルに座っているみたいなので、バス内の方の空いてる席を探す。

 おっ!村上さん、復活してるのね。


「三矢くん、こっちこっち」

 復活のMに呼ばれるまま、隣の席に腰を掛ける。


「村上さん、大丈夫でしたか?顔が見えなかったから心配しましたよ」

 そこまで心配はしていないのだが、社交辞令として声をかけておく。


「いやいや、ご心配なく。いや、若いもんには負けんと気張っていたのだが、やはり気持ちが年寄りですのでね」

 チラッとゼッケンが目に入る。12番。唯ちゃんの1個上か。

 他愛もない会話をしていると、順番に食事が運ばれてきた。


 山本君と佐々木さんとも会話を交わす。山本君は8番、佐々木さんは16か。

 山本君のスキルはまだ聞いていないからわからないけど、佐々木さんの『読経』は、ゴーストタイプの魔魔物とかがいたらイチコロだと思うんだけど16なのね。

 なんか、16と17は、1つ差ながら、だいぶ離れた評価な気がしてきた。

 まだ大丈夫。心は折れてない。今来た料理長のオススメ肉が美味すぎるて、折れた心を修復してくれているから!


 そういえば、女性陣と高校生パーティが夕食に来ていないな。

「高校生達は、別行動で今朝、王城に謁見で出かけましたよ。特別なスキルが見つかったとかじゃないですかね?」


 なるほど。主人公補正が入ったんだな。やっぱ、ゴム人間が主人公なのかな?この世界、海が無いけど。


「女性陣は、揃って大浴場の方に行ってるんだと思いますよ。ほら、噂をすれば」

 大浴場なんてあるのかーい!

 隣の佐々木僧侶とワインで乾杯した。


 村上さんは、ねねさんを見つけるやいなや、エスコートに向かっていた。

 何が気持ちは年寄りだ。気持ちもイケイケじゃないか。


 その村上さんとすれ違いで、走ってくるヤンキー風女の子の揺れるおっぱい。

 浴衣なんてあるのかよっ!

 そして、浴衣にはゼッケン無いのかよっ!


「トモ〜、さっきはありがとねっ。

とりあえず今は、私も帰るって目標で頑張ってみることにしたっ。

 それと、さっき売店でこっちの世界のタバコが売ってたんだっ。」


 さっき貰った分と言わんばかりに、一箱渡してくる。

 売店なんてあるのかよっ!!

 とりあえず、俺ももう買ったんだっていうのもアレなので、ありがたく頂くことにした。


 唯ちゃんは、じゃねっ、と短く挨拶すると、現場職人グループのテーブルの方へ走っていった。


「モテ期到来ですか?」


 ニヤニヤしながら、隣の僧侶が念仏を唱える。坊さん、だいぶ飲んだだろ?

 成仏させるな、合掌するな。


「あらあらまぁまぁ、私も混ざりましょうか?」

 家政婦の北さんが見ていたっ!!

 スラッとした女性が、浴衣を着ると3割増しでキレイに見えるのはなんでなんでしょうか?


「異世界でハーレム作れるのは、40歳までなんですよ」

 子持ちのオッサンには荷が重い。



「ちょっと!三矢さん!なんで助けてくれないんですかっ!?」


 用足し後、夕食会場に戻るところで、ねねさんに呼び止められ、睨まれた。セクシーな浴衣姿だ。

 コティ村上さんの猛攻から、抜け出せたんだね。


「いやぁ、俺の隠しスキル『面倒くさいこと回避』が発動しちゃってさ」


「酷っ!!私と三矢さんの仲なのに!」

 いやいや、そんな仲じゃ無いよね!

 1回、朝ごはん一緒に食べただけだよね!?


「朝ごはんを一緒に食べるって、そういうコトですよ」

 あの朝ごはんは、そういうコトだったのかっ!ってそんなコトはない。


「フフッ♪少しストレスが溜まっていたので、三矢さんで発散しました」

 くぅ〜。このあざとさに、どれだけの男が貢いでいるのだろう。


「なんか、唯ちゃんに『トモ』って呼ばれてましたよね!?なんですか『トモ』って!?

 私というものがありながら、もう寝ちゃったんですか!?

『と』ってもいい、『も』っとシテの『トモ』ですか!?

 なんですか?若さみたいな感じでしたら、今なら唯ちゃんと同い年なので、さぁどうぞ」


 目をつぶったキス顔で両手を広げて来たの、おでこにチョップを入れておいた。

「そんな『トモ』があるわけ無いだろが。名前が友宏だから、唯ちゃんが呼び出したの」

 ぶーたれた顔で睨んでくる。


「私も『トモ』って呼びます。トモも私のことを『ねね』って呼び捨てで呼んでください。これはお願いではなく命令です。拒否権や棄権はありません。異世界ですから」

 なるほど、異世界だからそんな状況になることもあるのか。


「了解。トモでいいよ、ヨロシクね、ねねさん」

 片側だけ権利発動!権利は使ってこそのもの。


「む~。今回は、引き分けみたいな感じですが、しょうがないですね、トモ」

 よくわからんが、引き分けたらしい。


「ではこれからは、ねねトモ同盟‥‥寝寝友、セフレみたいな関係で‥‥」


「却下します」


「早っ!!」



 ねねさんとの立ち話が一段落し、食後のコーヒーを貰いに会場へ戻った。


 ねねさん、腕組んでくるのヤメて!

 おっぱい当たってるよ!わざとだそうだ。

 今日はよくおっぱいを当てられる日だ。何その日!?祝日になるかな?


 そしてホラ、村上さんコッチを睨んでるから!少ない人間関係内でのパーティクラッシャーやめて!


 山本君と北さんが「また増えたんですかね?」「そうみたいね」とか言ってるけど、増えてないし、増やさないから。


 佐々木さんは、それ、念仏じゃなく怨念みたいなの唱えてるから!


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