第2話

ー放課後ー

「葵!行こ!」

「佳奈!行こっか!」


やっぱり親友と行くカラオケは違うな。なんというか、すごく楽しい


「そういえば、中坂くんとはどうなの??」


「え?どうなのって?」


「とぼけないでよ!」

笑いながら佳奈は言う

「好きなんじゃないの?中坂くんのこと」


やっぱり佳奈は凄い何でもお見通しだ。

「これといったことは無いかな。」


「毎朝一緒にいるのに!?」


「うん。悲しくなってくるよ」

私も笑いながら言う


「中坂くんも中坂くんだよ、こんな可愛い子がいるのに、うわ!もうこんな時間!バイトだ私!」


「大変じゃん!でる?」


「ごめん、葵また埋め合わせするね!」


「全然平気だよ!また遊ぼ!」


2人でカラオケを出てそれぞれの目的地に向かう。


やっぱり佳奈は凄いな、と思いつつもまだ1つ誰にもバレていない私だけの秘密がある。

それは癌があること。母親とお医者さんが話しているのを盗み聞きしただけだが、ハッキリ明確に聞こえた

「とても言いづらいのですが、娘さんは癌です。」

という言葉。母の泣いている声、医者の淡々とした冷たい声、慰める父の声、そして自分の心臓の音。こうなるなら聞かなきゃよかったと何度も自分の心の中で後悔した。母と父が出てきてから私がなんだったのか聞かされたことは1度もない。私がいくら聞いても聞かされるのは「何でもなかったって」の一言。私の頭は死にたくないという言葉でいっぱいだった。そんなことを考えているうちに何故か涙が出てきた。やっぱり死にたくない。涙を止めなきゃいけない、そう考えていることとは裏腹に拭いても拭いても涙は止まらない。もう家に着いてしまう。止めないとと思っても止まらない。こうなったら母親に目を合わさず自分の部屋まで走ろう。そう決めて家に入った

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