第7話 冷酷

ちょいと設定を紹介。






飢鬼対策課が使っていた銃。


佐賀さんの戦闘でも使われていましたね。


それと、男の人も。




飢鬼はかなり丈夫な体を持っています。なので普通の銃では効きません。




なので対策課が発明した銃がこちら。


対飢鬼用駆除銃です。


銃弾や、銃の構造を変え、威力を倍以上にしたスグレモノ。


これを踏まえた上で楽しんでください!





北海道 札幌 某所


『第2部隊 イヴニング キャット隊長、武内 蓮。


目標を狙撃、命中。撤退する。』




『第1部隊 メイク ウルフ隊長、佐賀 平子。目標の死体処理を開始。』




無線通信の音と、ヘリのローター音だけが響く。




『第2部隊、武内 蓮へ。直ちに東京 新宿の飢鬼被害特別支援高等学校へ迎え。到着次第、1年5組の八村シンの監視を開始しろ。』




『第1部隊、佐賀 平子へ。作業が終了次第、東京 新宿の飢鬼被害特別支援高等学校へ迎え。第2部隊と合流しろ。』




『…了解。』




「今すぐ東京 新宿の飢鬼被害特別支援高等学校へ迎え。八村シンの監視を始める。」




「承知!」




武内がヘリの操縦士に命令し、ヘリのローター音が遠ざかっていく。




「はぁ…。いいなぁ…私が仕留めたかったのに…」


































──東京 新宿 飢鬼被害特別支援高等学校付近


「まず、1年5組の場所の確認をする。次に八村シンの監視。何か異常があれば、直ちに上層部に報告するように。それと何があっても監視対象は狙撃するな。何回も言っているが、狙撃する時は必ず狙撃許可を得るように。」




「ハッ!」




武内が部下に命令し、部下が一斉に敬礼をする。


ビルの屋上に座り込み、校舎の案内図を取り出す。




「1年5組…あった。校舎の東側の三階だ。」


『こちら第1部隊 イヴニング キャット 隊長 武内蓮。八村シンの監視を開始。』




武内がそう言い、背中に背負っていたヴァイオリンケースからバレットMRADモデルの対飢鬼用駆除狙撃銃を取り出す。




「武内先輩。佐賀先輩がもうすぐ到着するかと。」




伏せていた武内の隣に武内の部下が来る。




第2部隊 副隊長 畑中 舞だ。


武内の部下で明確な狙撃力、対象の監視能力は武内に匹敵するほどの実力。ただ、立体的思考、標的の位置の把握能力は武内に劣る。




「そうか。佐賀さんが来たら戦力になるからな。報告ありがとう。」




武内がスコープを覗きながら畑中に言う。






























飢鬼被害特別支援高等学校


1年5組




俺はいつものように授業中に頬杖をつきながら授業を受ける。先生の話なんてつまんない。聞いてられない。窓の外には見慣れない街。汚い空気に纏われた街。これから1年間、同じ景色を見続ける。そう思うと、どこからか不快感が漂ってきた。俺の気持ちを照らすように、どんよりとした雲が向こうから流れてきた。




「ねー…ちょっとシン!聞いてる?」




ミユキが俺に小声で話しかけてきた。




「…ん?何?」




俺がミユキに聞き返す。




「シン。話は聞いてなさい。じゃぁ…シン以外にここの答えわかる人。」




先生が俺に言い、別の人を指名する。


そういう事か。ぼーっとしてて気づかなかった。


なんか照れくさい。みんなから笑いものにされそうで怖い。




そんなことを考えてるうちに授業が終わり、帰りの支度をする時間になった。






























「よし。本日の監視は終わりだ。みんな、協力ありがとう。この後、本部に戻り1夜明かしたあと、各自ここに戻り監視を続行するように。」




武内が部下に指示を出し、通信をする。




『第1部隊 イヴニング キャット 隊長 武内 蓮。 これにて八村シンの監視を終了する。本部に戻り、1夜明かした後、監視を続行。通信終了。』




「ねぇー…蓮。あの飢鬼死体処理大変だったからね?あんたが殺した後処理を私がするってさぁ…逆にしてくんない?」




佐賀が武内の肩に腕を置き少し呆れ気味に言う。




「今回の作戦は、俺の引き立て役だったから。」




武内が佐賀に言い返す。




「…フンッ!蓮なんて知ーらない!」




「あぁ…別にいいけど」




佐賀が怒っているのに対し、武内は冷たい反応をとる。




「…そんな言い方……」




佐賀が少し落ち込み、蓮の隣から外れ、前にスタスタと歩いていく。




「…はぁ。先輩。やっちゃいましたね…」




畑中が呆れたように言う。




「何が?」




「だから、佐賀さんの気持ちもわかってあげて………。私の気持ちだって…」




畑中が小声で呟く。




「人の気持ちを察知できるほど俺が暖かい人間だと思ってんのか?第一、俺らは夜に目を光らせる猫なんだよ。任務に集中しろ。人間関係なんていらない。」




「先輩…そんな言い方…私たちが…私が!なんのために第2部隊に入ったと思うんですか?!まるで私が…先輩と…先輩…と……」




「第2部隊に入ったのは、お前の実力、それしか出来なかったから。そうだろ?簡単な事じゃねぇか。近接戦闘なんて俺らには向いてない。才能だよ。全部振り分けられてんだ。」




「…もういいです。私、先輩ともう任務やりたくないです。」




「任務は義務だ。権利じゃない。やれ。」




「酷いですね……。やっぱりあなたは仕事人間…。人の事なんて一切考えずに生きてきたから…そんな先輩に憧れた私は馬鹿ですね……じゃぁ…先行っときます。」




会話が続いたあと、泣きかけの畑中は走って武内の先を行く。
































───翌日


『こちら第2部隊 イヴニング キャット隊長 武内蓮。これより八村シンの監視を続行する。』




武内が通信をし、スコープを覗く。


























しばらくして、


知らない男が校舎に入っていくのが見えた。




『こちら第2部隊 イヴニング キャット 隊長 武内蓮。異常発生、飢鬼被害特別支援高等学校の校舎に不審者が侵入。』




武内が通信をし、司令室が慌ただしくなるのが通信から聞こえた。


武内がスコープを取り替え、その男を見る。


肩甲骨の辺りが異常に暖かい。


飢鬼だ───


























学校で朝の支度をし、席に着いた。




何か嫌な予感がする。


ものすごく…嫌な予感。




───ピンポンパンポーン




「校内に不審者が侵入しました。生徒の皆さんは直ちに避難してください。繰り返します。校内に不審者が侵入しました。生徒の皆さんは直ちに避難してください。」




緊急放送のアナウンスと共に教室が慌ただしくなる




「あの時と…同じ…。はぁはぁ…ンッ…!」




俺に猛烈な吐き気と頭痛が襲う。


あの時と同じだ。あの時…と。




廊下から足音が聞こえる。スタスタスタスタと。




「すぐに教室から出てください!早く!」




「シン!急いで!」




ミユキがそう言い、俺を引っ張る。


ただ、この状況、俺はフラッと床に倒れ、うずくまる。




「ミユキさん!ここは先生に任せて!早く行きなさい!」




「…でも!」




「いいから!」




やり取りが聞こえ、先生が俺に声をかけてくれたのが分かった。




「シンさん!立って!ほら!」




「…先生…無理です…」
























「こんにちはー!元気?八村シン君に用事があってきました!イヴって言います!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る