第4話 馬鹿
初の戦闘シーン。暖かい目で見守ってください。
その前にちょいとキャラ紹介。
ローム
本名 不明
性別 男
誕生日 1月 2日
血液型AB型
男の飢鬼。相方のヴィルと共に各地を巡っている謎の存在。松本第3中学校を襲撃した犯人。
触手はタコのような触手で自由自在、伸縮可能に操ることが出来る。また、その鋭利な先端は人の腹を容易く貫くことが出来る。
ヴィル
本名 不明
性別 女
誕生日 6月 6日
血液型O型
女の飢鬼。相方のロームと共に各地を巡っている謎の存在。
触手は床や壁、天井に寄生し自由自在、伸縮可能に操ることが出来る。また、殺傷能力の低いもので殴っても意味がなく、むしろ飲み込まれてしまう。
最終的に飲み込まれたものは圧縮される。
「潰されるのは、お前らだけどな!」
ロームがそう叫んだ瞬間、2人とも同時に触手を出すそしてロームが飛び出す。その姿はまるで空の猛者ハヤブサのように。
「長官。発砲許可を」
佐賀がそう呟く。ロームの拳の先端は佐賀の目と鼻の先。
(長官から発砲許可が出てない以上、相棒は出せねぇ…。待ってろよ…。となると、拳か!やってやるか!!)
「蜂蜜みたいに甘いなぁ!馬鹿か?!とうとう、人でも飢鬼でもない馬と鹿の融合体になったのか?!ハハッ!」
佐賀がそう笑うと、風に舞う木の葉のように、ヒュッと避ける。
「ヴィルさーん?ちゃんとやってもらわねぇと承知しねぇぞ?」
「…チッ!」
ロームがそう言うと、佐賀が舌打ちをしながらロームに拳を一発。しかし、ロームも対抗し佐賀の肩に触手を刺した。赤い飛沫をあげ、服の肩部分がじんわり赤色に染みる。
(OK?FPSで考えろ。立体的にだ…。右、前方、上から触手。左にローム。後ろで銃を持った私の部下が控えてる。この状況…どうする…)
「…ケ!一か八か…!」
佐賀がそう言うと、ヴィルの寄生した触手を俊敏に避ける。体をひねらせ、思いのままに飛ぶ。ポップコーンが弾けるように激しい動きを繰り返し、ヴィルに急接近する。
「…佐賀さん…!お、落ち着いて…?私…なんもして…な───」
ヴィルが両手を前に出し、オドオドする。
「関係ねぇよ!お前には私からの制裁を受けてもらうからな!」
佐賀がそう言い、拳をヴィルの顔面に近づける。1寸もの隙間もなく、ヴィルの顔面に容赦なく襲いかかる拳。
「佐賀さん?俺の事忘れた?サンドウィッチってか!ハハッ!」
ロームが佐賀の後ろでそう言い、触手をうねらせ佐賀の首めがけて高速で動かされた触手。獲物を死にものぐるいで追いかける猛獣かのようにも見える。
「ヤッバ…!」
佐賀がつぶやき、瞳孔が大きくなる。
「ローム!やっちゃって!」
ヴィルがロームに言い放つ。
「…くっ、、!」
「…ヘッ…!」
佐賀の首へと高速で襲いかかる触手。
小さなうさぎを追いかける1匹の猛獣が獲物の首を貫く。
───そう思った瞬間。
佐賀がしゃがみ、足を一回転させ、ロームとヴィルをよろけさせる。
「嘘だろ…?!」
ロームが驚き瞳孔が大きくなる。
「…うわッ!」
ヴィルもよろけ、そのまま尻もちをつく。
『佐賀さん!発砲許可、降りました!』
佐賀の通信から声が聞こえる。
『ありがとう。最高のタイミングだよ。』
佐賀が無線で通信し終えると腰から銃を取り出す。
「飢鬼対策課だ!手を上げろ!触手をしまえ!命令に従わなかった場合、発砲する!」
銃をかまえながら、入口で控えていた佐賀の部下が出てくる。
「はぁ…お手上げお手上げ。どうすんの?俺らのこと。楽しみだねーほんとー。」
ロームが諦めた口調で言う。
「聞きたいことが山ほどある。今日あったFM姉妹会社の襲撃は置いといて、この前、松本第3中学校とか言うところ襲撃しただろ。生徒何千人殺してる。それだけの事をやったんだ。だがな?その時休みだった生徒抜いて、4人、人数がいなかったんだよ。その4人はどうした?」
佐賀が落ち着いた声で聞く。銃をしっかり握りしめながら。
「あぁー。なんかいたね。そのうちの1人…いや話さない方が───」
ズドンッ。耳と空をつんざく乾いた音が一発。
「言え。馬と鹿の融合体が…」
佐賀が天井に銃を向けた状態で脅し口調で言う。
「ひえー怖い怖い。言うよ言うよ。わかったよ。
そのうちの1人、僕らの仲間にしちゃったんだ。」
ロームが落ち着いた口調で身振り手振りをしながら言う。
「は?」
佐賀が吐き捨てたように返事をする。
「だから1人飢鬼にしちゃったの!日本語わかる?
それから…1個気になったのが。服従薬を飲ませてないのに自我持っちゃって。おかしいよね。普通なら正気でいられないでしょ。ユミちゃんじゃないんだし。」
ロームがやや半ギレで言う。
服従薬。
自分よりも立場が上だと思った者に絶対的に服従し、立場が上だと思われた人の意のままに操れる
惚れ薬。
「生徒1人を…飢鬼…?服従薬飲ませてないのに自我もってる…?名前は?!」
佐賀が慌てた口調で言い、ロームの胸ぐらを掴む。
「おーしえない…って言っちゃうと佐賀さんまたプリプリ怒っちゃうか。名前?確か、八村シンって言ったはず。」
「クソが…ッ!」
「…ローム?話し終わった?お暇させて貰お。」
ヴィルがそう言い、張り巡らされた触手が1箇所に集まり、2人の身をまとい、沈んでいく。
「おい待て!……チッ。また逃した…!」
『第1部隊、メイクウルフから佐賀平子から司令室へ。只今より、新たな飢鬼、八村シンの搜索を開始。松本第3中学校の生徒です。かなり特殊な飢鬼で、服従薬を飲ませていないのにも関わらず自我を保てているそうです。』
佐賀が通信したあと、ふらつく。
「ぁ…やべ…肩…止血…」
ひょろっと佐賀が倒れる。
「佐賀さん!すぐ病院へ!」
数時間後──
飢鬼対策課本部 会議室
コンコン───
「失礼します。第1部隊、隊長。メイクウルフから佐賀平子です。よろしくお願いします。」
佐賀がノックをし、会議室に入って来た。
「今回の件にて、しばらくご説明させて頂きたく、この時間を設けさせて頂きました。我々、飢鬼対策課、そして一般人の皆様の運命に関わる大切なことなので長らくの間ご説明します。それでは───」
しばらく会議は続いた。
「まもなく、東京。東京。お出口は右側です。扉に手を挟まれないよう、ご注意ください。」
新幹線のアナウンスで俺達は一斉に立ち上がる。
「よっしゃー!長かったー!初めての東京だーッ!!」
そんなことを言いながら俺たちは新幹線を降りる。
「えーっと…駅広すぎんだろ…」
カイトが地図を見ながら呟く。
「えーっと…新宿行きがこっちだから?右方向か。」
カイトが地図とにらめっこしている間に、俺とミユキは改札を通る。
「お前らおっせぇよ!早くこーいよ!」
俺が改札の向こうにいるカイトを呼ぶ。
「置いてくなってー!ほんと待てよ!」
カイトが焦りながらこっちへ来る。
なんやかんやあって、そのまま新宿駅へ着いた。
東京は見慣れない。行き交う人々。どこから漂ってくる美味そうな匂い。汚い街並み。
夕方になり薄暗くなってきた道路を歩いていく。
「どーする?ホテルとか予約して泊まる?予定より遅かったから、泊まるとこないじゃん。」
ナナが伸びをしながら言う。
するとナナの方を見て歩いていた俺は正面から来る人に気づけなく、ぶつかってしまった。
「ごめんなさい!前…見てなく…て…?………お兄………ちゃん…。。?」
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