87話目「姉妹百合にならないつもりの妹の話」
「あ、雪ちゃん。おかえり、今日は早かったね。部活は?」
「……来週からテスト期間だから」
「あ、そっかそっか。それじゃあ勉強で分かんないところあったら教えてあげるけど?」
「ん――、ありがと」
それは学校から帰宅したばかりの妹と、妹を出迎えた姉の日常会話だった。
姉の音羽はリビングでソファに腰掛け、のんびりとテレビを見ていた。
「あ、今ならお風呂あったかいよ」
音羽は言う。
この姉はしずかちゃん並みの風呂好きであり、今日も昼間から入ったらしいのだが――、
「……」
「雪ちゃん、どうかした? 顔赤いけど?」
音羽は首を傾げたが、雪は「別に」と言って自分の部屋へと引っ込んだ。
ただ、たった今の音羽の姿が目に焼き付いて離れない。
パンツ一枚で、肌の九〇パーセントが露出されていた姉の姿を。
豊かな胸としなやかに括れたウェストを持った姉の姿を。
――そういう趣味のつもりはないのだけれど。
雪は自分の顔を覆った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます