第8話 親友とのひととき 如月夏side
〈
「んー。ちょ〜っと作りすぎちゃったかな」
私、
思ったよりも早く帰れたしやることも無かったからなぁ...
それに、今日は利奏が泊まりに来ることになったのもあって、つい張り切ってしまった。
利奏は"先輩を揶揄いたいから学校で待ってる!"って言ってたけどそろそろかな〜?
〜♪
丁度良いタイミングでインターホンが鳴る。
お、きたきた!
私は着ていたエプロンを脱ぎ、玄関に行って、利奏とゆう兄ぃを迎え入れる。
〈如月夏〉
「おっかえ––––」
〈利奏〉
「きさ〜!!!」
と、鍵を開けドアを開けると、勢いよく飛びついてきた利奏に抱きつかれる。あれ、ゆう
〈如月夏〉
「どうどう...ゆう兄ぃがいないけど...はっ!もしや!うちの兄が利奏になにかやりましたか!?」
〈利奏〉
「そうなの!まさにそれ!なんか今日の先輩おかしいの!」
冗談で言ったものの、まさかの肯定されてしまった。
ゆう兄ぃがおかしい?んー朝は...まぁいつもどうりっちゃいつもどうりだったけどなぁ。
〈如月夏〉
「まぁまぁ、とりあえず上がって!話は聞くから」
〈利奏〉
「うん...」
冷えた麦茶を用意して、リビングのソファに隣同士で座る。
〈如月夏〉
「ゆう兄ぃがおかしいって言ってたけど...一緒に帰ってたんだよね?」
〈利奏〉
「そうなんだけど...先輩が私のこと"女の子として見てる"なんて言うから...なんて言えばいいのかわかんなくて先帰っちゃった」
〈如月夏〉
「なにそれ!?詳しく!」
普段のゆう兄ぃならまず言わないセリフ。確かに始業式の時も"青春したいから生徒会に入りたい"なんて言ってたっけ。
もともと生徒会に入りたそうにはしてたし、そんなに驚かなかったけど。
〈利奏〉
「きさと別れてから、先輩探してたんだけど...先輩のクラスの先生に生徒会の掃除手伝ってるって聞いたから、教室で待っててー」
〈利奏〉
「で、30分くらい待ったかな。窓から先輩の帰ってる姿が見えたから急いで追いかけたの」
〈如月夏〉
「ほうほう」
〈利奏〉
「それで先輩に話しかけたんだけど、どうやら生徒会でやらかしちゃったらしくって!落ち込んでてね」
〈如月夏〉
「えっ!ゆう兄ぃなにやったの!?」
〈利奏〉
「事故で副会長さんのおっぱい触ったらしい」
〈如月夏〉
「...え、そんなことある!?」
思ってた倍は衝撃的だった。
〈利奏〉
「それでねー、元気付けてあげよう!と思って揶揄ってたんだけど...カワイイのは間違いないんだけど素直すぎるというか」
〈如月夏〉
「ゆう兄ぃはいつも素直だよ?」
〈利奏〉
「それは知ってるけどー、あんまり言葉では出さないじゃん?態度でバレバレだけど」
〈如月夏〉
「んー私には甘えんぼだからなぁ」
〈利奏〉
「くっ!これが正妻の余裕か!」
〈如月夏〉
「ふふん!って、そっからどうなったの?」
〈利奏〉
「先輩が青春したいって式で言ってたから、"私みたいなカワイイ女の子と青春できて嬉しいでしょ!"って言ってみたの」
〈如月夏〉
「...そんなこと言ったの?それはそれでまた...」
親友が実の兄にそんな事言ってるという事実にも驚かされる。というかちょっと引いた。
〈利奏〉
「もちろん冗談だって!!"なわけあるかいっ!"的なのを期待してたの!」
〈如月夏〉
「うんうん」
〈利奏〉
「そしたら先輩"そりゃそうだろ"って言って!で、私もちょっと予想外でおかしくなっちゃって!」
〈利奏〉
「もしかして先輩私のこと女の子として意識してるんじゃ...とか思っちゃって!つい勢いで聞いちゃったの!」
〈如月夏〉
「それで、意識してると答えたと」
〈利奏〉
「そう!それで私、完全にテンパっちゃって、先輩置いて先に帰ってきちゃった!」
〈如月夏〉
「うーん...確かに、言われてみればちょっと変...かも」
ゆう兄ぃが利奏に揶揄われるのはいつも通りだけど...女の子として意識してるなんてのはさすがに初耳。
〈如月夏〉
「まぁ落ち込んでたんでしょ?ならちょっといつも通りに振る舞える余裕が無かったんじゃないかな」
〈利奏〉
「確かに...でも、これからどうしよう。意識されてる!なんて思ったら喋りかけづらい...」
〈如月夏〉
「んー利奏的にはうちの兄はどうなんですかい?」
〈利奏〉
「えっ!?」
〈如月夏〉
「この際ぶちまけちゃいなよ!ゆう兄ぃには絶対言わないから!」
〈利奏〉
「...好きだけど異性として好きかと言われると...ラブじゃなくてライクって感じ。ずっとこの関係が続くといいなって思ってる」
〈如月夏〉
「なるほど...」
正直意外だった。利奏もゆう兄ぃの事が好きだと思ってたのに。もちろん異性として。
〈如月夏〉
「分かった!とりあえず私が利奏とゆう兄ぃの会話とかで危ういとこがあったらフォローするね!」
〈利奏〉
「ありがとうきさ〜!よっ女神様!」
利奏に抱きつかれる。抱きつかれるの自体は全然良いんだけど、豊満な胸を押し付けられその差に絶望する。本当に同い年なのか...?
〈利奏〉
「...きさってこんなにカワイイのにおっぱ––––」
〈如月夏〉
「それ以上言うなーー!!」
丁度その事を考えていたのでダメージが大きい。ふん!私だってまだまだ成長途中なんだもん!
〜♪
インターホンが鳴った。今度こそゆう兄ぃに違いない。
隣の利奏が急にもじもじしだす。
〈如月夏〉
「利奏は待ってていいよー」
〈利奏〉
「ん、わかった」
私はゆう兄ぃを迎える為、急ぎ足に玄関に赴く。
そして、
〈如月夏〉
「おっかえりーゆう兄ぃ!」
〈優斗〉
「...あぁ、ただいま」
愛しの兄の姿を見てつい頬が緩んでしまう私だった。
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