第318話 集団下校
最近、2年生の子が何人もいなくなっているらしい。
お母さんや先生の話だと、不審者っていうのが学校の周りをウロウロしているみたいだ。
だから、絶対に、1人で外を歩かないことって言われている。
朝は谷口君の家の前に集まってから学校に行く。
帰りは班分けされていて、美奈ちゃん、高橋君、けいちゃん、田口さん、星野君で集団下校している。
前までは高橋君とけいちゃん、坂下君と一緒に寄り道して帰っていたから、なんだか寂しい。
また、帰りに空き地でサッカーとかしたいなぁ。
美奈ちゃんは「変な人が捕まるまでの我慢だよ」と慰めてくれる。
「俺が見つけたらやっつけてやるのにな」って星野君が言う。
「捕まった人って、どうなったんだろ……」と田口さんが怖いこと言った。
「あ、俺こっちだから。じゃあ、また明日」と言って、高橋君が走っていく。
「そういえばさ。算数の宿題だけど、あれわかった?」と美奈ちゃんが言った。
確かに今日出された宿題は難しい。
「俺は父さんに教えてもらう」とけいちゃんが言う。
「いいなぁ。私の家は、ちゃんと自分でやりなさい、だよ」とため息をつく田口さん。
「あ、私、こっちだから。じゃあね」と言って美奈ちゃんが家に入っていく。
歩いていると、いつも寄っていた駄菓子のお店の前に来きた。
「ねえ、けいちゃん。お菓子買っていかない?」って僕が言うと、けいちゃんが笑う。
「いいね。ちょうどお腹減ったし」
「ダメだよ、買い食いしちゃ」と田口さんが注意してきた。
僕たちは口を尖らせて我慢するしかなかった。
先生に言いつけられたら大変だ。
「お、田口。お前もこっちだろ?」とけいちゃんが田口さんに言う。
「そうだった。危ない危ない」と田口さんが笑う。
「それじゃな!」
「バイバイ」
けいちゃんと田口さんが一緒に道を曲がっていく。
これで僕一人になってしまった。
まだ、僕の家までは遠い。
怖いと思いながら、僕は走って帰ることにした。
終わり。
■解説
いつの間にか星野君がいなくなっている。
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