第306話 燃えるゴミ
女は男と暮らしていた。
若気のノリで付き合ったため、今では二人の間は冷めきっていて、男は女に暴力を振るうようになっている。
女は男に愛想をつかしていたが、出て行こうとすると男が抵抗するのでなかなか出て行くことができなかった。
そんな中、男が1日、家を空けると知り、出て行く準備をした。
1日で新しい住居を探すのはかなり大変だったが、やっと訪れたチャンスを逃すまいと頑張った。
立つ鳥跡を濁さず。
女は全てのゴミを処分した。
綺麗さっぱりと全てをリセットして出て行きたかったのだ。
なので、今、持っている物は全て捨て、引っ越し先で新しい物を揃えるつもりだった。
家具や電化製品など売れるものは売ってしまい、残った粗大ゴミなどすべてのゴミは業者に持っていって貰った。
家の中のゴミをすべて処分し、満足感に浸る女。
そして、家を出て行こうとしたときだった。
突然、男が帰宅してくる。
なんと予定が中止になったとのことだ。
家の中を見て、激怒した男は女を殴りつけ、二度と出て行けないように監禁してやると言い出した。
次の日。
女が1つの大きなゴミ袋を持って出てくる。
ゴミ取集所を見ると、今日は燃えるゴミの日だった。
「ちょうどよかった」
女はゴミ袋を収集所へ置き、軽い足取りで駅へと向かった。
終わり。
■解説
女は男を『生ごみ』にして、捨てて家を出て行った。
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