第302話 親友の男
私には小学校からの親友がいる。
高校までずっと同じ学校で、ほんどの日は一緒に登下校してるし、休みの日も結構頻繁に遊んでいる。
そんな彼女が好きな人ができたと相談してきた。
そいつはクラスでも人気の男子で、いわゆる、不良ってやつだ。
高校生くらいって不良が、結構モテたりする。
しかも、そういうやつはモテるもんだから、女をとっかえひっかえしたりする。
あいつも例に漏れずそうだ。
だから、私は反対した。
あいつだけは止めた方がいいって。
でも、彼女は本気だった。
今まで生きてきた中で、一番好きになった人だって。
あの人を諦めるくらいなら、死んだ方がマシだと言い出した。
そこまで本気なら、と私は応援することにした。
私は意外と色々な方面に交流がある。
しかも、不良界隈には結構な太い人脈があるのだ。
だから、その人脈を使ってそいつと彼女が付き合えるように手を回した。
でも、そいつには安易な気持ちで彼女に手を出すなと釘を刺しておく。
つまり、ヤリ逃げは絶対に許さないってことだ。
そいつはそれを了承し、彼女と付き合うことになった。
正直に言って、彼女は女の私でも見惚れてしまうくらい可愛い。
そんな彼女と付き合えるなんて、男なら誰でも喜ぶだろう。
あいつと彼女が付き合って3ヶ月が経った。
探りを入れると、約束通りまだ手を出してないみたいだ。
意外と筋を通す奴だ、なんて感心してたときだった。
町で強姦未遂事件の噂が流れた。
暗がりで襲われたという話だ。
襲われた女の子は暗がりの中でも必死に抵抗し、偶然、相手の金的に足が当たったそうだ。
相手は苦しみ、前のめりに倒れ込んだらしい。
抵抗したときにチラッと、相手のアレに蝶のような痣があったそうだ。
私はあいつに彼女と別れるように言った。
言われた通り、あいつは彼女に別れた。
彼女は号泣した。
今まで一番泣いていた。
でも、これでよかったんだ。
やっぱり、あんなやつと付き合わない方がよかったと思う。
これからも彼女は私が守っていこうと、心に決めた。
終わり。
■解説
語り部がいう幼馴染の彼女と付き合っていた男が、強姦未遂事件の犯人。
しかし、語り部がなんでそんなことを知っているのか。
わかった理由はお尻の痣がきっかけである。
ということは、語り部は男の男根に蝶の痣があることを知っていたことになる。
つまり、語り部は親友と付き合っている男と肉体関係があったことがわかる。
語り部は親友を応援しつつも、裏切っていたということになる。
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