第301話~350話

第301話 鉛筆

美術の授業で鉛筆を使うことになった。

 

確かに絵を描くのにシャープペンは適してないと思う。

でもさ、いきなり鉛筆を使えって言われても困る。

 

どうやって使っていいかわからない。

 

先生はみんなにナイフを配って、鉛筆を削れと言う。

でも、簡単に削れって言われてもどうやるのか、説明して欲しい。

 

先生の時代は手動のハンドルのついたものや自動の鉛筆削り機があったらしい。

でも、やっぱり手で削るのがいいと長々と話している。

そんな話よりも、早く鉛筆の削り方を教えて欲しい。

 

今度はナイフの話をし始めた。

なんでも、人数分のナイフの刃を研ぐのが大変だったとかなんとか。

でも、その分、すごく切れるから注意しろとか。

 

そういうのいいから。

早く教えてくれって。

 

ダメだ。

なんか悦に入って、話が止まりそうにない。

 

仕方ないからもう、自分で適当に削ろう。

こんなもん、教わらなくてもできる。

たぶん。

 

そう思ってやってみたんだけど、意外と難しい。

全然削れない。

 

力が足りないんだろうか?

 

思い切り力を籠める。

そして、一気に押し込んでみる。

 

手ごたえあり。

切れた感触があった。

 

よし!

 

そう思って手元を見ると、鉛筆は全く削れていなかった。

 

終わり。












■解説

切れたのは語り部の指。

先生はナイフは凄く切れると注意をしていたので、もしかすると爪ごと切ってしまったかもしれない。

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