第164話 純粋無垢
ある少女がいる。
その少女はまるで生まれ落ちたばかりの天使のように純粋無垢だった。
少女の両親は高齢で子供を諦めていた時に授かったこともあり、少女をとても大切に育てていた。
ほとんど外にも出さず、危ないことからはすべて遠ざけ、過保護に育ててきた。
純粋無垢のまま育ってほしい。
それだけが両親の願いだった。
だが、そんなある日。
父親は外で遊ぶ少女が猫を棒で叩いているのを見つけた。
なぜそんなことをしているのかと聞くと、撫でようとしたら引っかかれたというのだ。
父親は、少女が痛かったことや怖かったことを慰め、抱きしめた。
だが、父親は少女に対して、痛みはみんな平等にあることだと教える。
棒で叩かれた猫も、少女と同様に痛い思いと、恐怖を感じているはずだと諭した。
少女は父親の言ったことを理解し、自分がしたことに対しての罪悪感で涙を流した。
父親は少女を抱きしめながらも、命の大切さや命を奪うことの罪の重さを語った。
すると、少女は二度とこんなことはしないと誓った。
そして、その日の夜。
少女は夕食中に突然、ハッとしたように目を見開き、青い顔をしてブルブルと震え始めた。
両親は心配し、どうしたのかと尋ねても理由を言おうとしない。
少女はついに立ち上がり、自分の部屋に閉じこもってしまった。
次の日の朝。
部屋で少女が首を吊った状態で見つかった。
終わり。
■解説
少女は食事中(肉を食べた時)に食べ物は生き物だと気づき、自分が生き続ける限り命を奪っていることに気づき絶望した。
これ以上、罪を重ねないため、自ら命を絶ってしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます