第144話 焼き肉

焼き肉が好きな人は多いと思う。

実際、俺も大好きだ。

 

学生の頃は小遣いを貯めて、友達と食べ放題によく行っていた。

けど、就職して少しはお金が使えるようになってからは、もっぱらバーベキューにハマっている。

 

夏になれば友達を集めてバーベキューをする。

大体、月に1、2回のペースだ。

 

ただ、最近の悩みはバーベキューをする場所がないということ。

適当な川辺でやっていたら、警察を呼ばれたこともあった。

かといって、バーベキューをする場所に行くと金を取られる。

そこに金をかけるくらいなら肉にかけたい。

 

それになんでかしないが、数か所のバーベキュー場では出禁になっている。

ちょっと、うるさくしただけなのに。

お酒を飲んでたら誰だってあれくらい騒ぐと思うんだが。

 

あとは今年の夏は、例の感染症のせいで自粛だか何だかで余計、外でバーベキューをしていると何かと苦情を言われるから、ほとんどできなかった。

ホント、最悪。

 

そんな中、俺はある画期的なアイテムを見つけた。

それは『煙が出ない炭』というものだ。

 

半信半疑で買ってみたんだが、全く出ないというほどではなかったけど、普通の炭と比べると格段に煙は出ない。

これで、屋内でバーベキューができる。

 

俺が借りている借家の一階は車を停めるスペースになっている。

いわゆる車庫になっている状態だ。

だから、車を出してしまえば、そこそこのスペースができる。

ちょっとしたバーベキューをするにはちょうどいい。

 

さっそく、次の休みの日に友達を誘ってバーベキューをすることにした。

ここなら、いくら騒いでも文句は言われないだろう。

 

肉と酒をたくさん用意し、バーベキューを開始する。

久しぶりのバーベキューに友達も喜んでいた。

 

肉を食って酒を飲んで、いい感じになってきたときだった。

友達の一人が寒いと言い出した。

 

見ると入り口のシャッターが少し開いている。

シャッターや開いている隙間を閉めて、またバーベキューを楽しむ。

明日も休みだから、今日は夜通し騒ぐつもりだ。

 

よし、来月もまたやろう。

 

終わり。














■解説

開いている隙間を塞いでしまったため、その密室状態になっている。

このままでは語り部はもちろん、その場にいる友人たちも一酸化炭素中毒になってしまう。

そして、全員、酔っているので異変に気付かない可能性が高い。

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