第118話 念
少年は昔から、悪運が強かった。
その運がいいというのは、決して喜ばしいことではなく、返って怪しまれることもあった。
というのも、少年がいい結果を残すときは、少年よりも上位の人にトラブルがあって、繰り上げで入賞するというものだった。
例えば、部活のテニスの大会で、いつも勝てない選手がその日に限って事故に遭い、欠場することで3位になることができた。
あるときは、入試試験で落ちてしまったのに、合格者が数人辞退したことで、繰り上げで合格することができた。
そういうことが続いて、少年はいつしか、自分が念じた相手には不幸が起きるんだと思い始める。
そんな中、少年はどうしても優勝したいテニスの大会があり、猛練習に励んだ。
その甲斐もあり、少年は優勝候補とさえ言われるようになった。
そんな大会の前日。
少年は念のため、ライバルになる相手の事故を願った。
そして、大会当日。
少年は試合会場に向かい際に、事故に遭った。
終わり。
■解説
念じると相手に不幸が起きるという力は少年ではなく、他の人物の力によるもの。
今までは偶然、少年の願った通りに相手が事故に巻き込まれていた。
しかし、今回は少年が優勝候補となってしまったため、不幸が起きるという力を使われてしまった。
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