第119話 死体置き場

とある国の話。

 

その町では疫病が流行り、人口の3割が亡くなった。

死体は放置するとそこから感染が広がるということで、国が死体置き場を用意し、亡くなった人間はそこに集められる。

 

集められた死体は、流れ作業的に火葬場へと運ばれて火葬されていく。

それはあまりにも膨大な数のため、役所の人間は忙しさに疲弊し、過労で倒れる者まで出てきた。

 

中にはサボりや居眠りをする者も後を絶たなかった。

 

そんな中、ようやく疫病も収まり、町に平穏が訪れた。

国は役所の人間の功労を称え、全員にボーナスを出すことにした。

 

しかし、調べてみると役人の人間が10名以上、失踪していることがわかった。

 

終わり。













■解説

実際に失踪した人間もいるが、死体置き場で「居眠り」をして、生きたまま燃やされた人間も存在する。

この頃の役所の人間はみんな疲れきっていて、運ばれても起きないほど熟睡していた人間もいたはずである。

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