第114話 死を見る鏡
鏡は女の子にとって必需品。
私は今日も、家を出る前にしっかりと鏡を見て身なりを整えてから出発する。
どんなに時間がなくても、それだけは徹底している。
そんなある日、いつも使っている洗面台の鏡にヒビが入ってしまった。
これだと、毎日の身だしなみチェックに影響が出てしまう。
そこで、仕事の帰り道に新しく見つけた古いアンティークショップで鏡を買うことにする。
そこはアンティークショップというより、古物商店という感じで、わけのわからないものや不気味な物も置いてある。
中にはちゃんとお洒落な物もあって、色々と店内を物色していた。
すると、店の端に布がかぶせられた大きな鏡があった。
鏡の部分は布で隠されていたが、大きさや鏡の周りの装飾品が、私の好みにぴったりだった。
そこで、店のおじさんにこの鏡が欲しいというと、最初は喜んでいたのに、途中でやっぱり売れないと言い出した。
理由を聞いてみると、その鏡は死に顔が映るのだという。
私はオカルトなことはまったく信じていなかったので、それでも欲しいというと、何があっても知らないと注意され、なんとか買うことができた。
さっそく洗面台にセッティングする。
すごくいい感じだ。
あまりにもいい感じなので、自慢がてら、友達を呼んで見てもらった。
すると友達は鏡を見て悲鳴を上げた。
なんでも、自分の顔が老婆のように見えたのだという。
もしかして、店のおじさんが言ってたのは正しかった?と思いながらも、私は普通に写るので特に気にも留めなかった。
私は今日も家を出る前に鏡を見て、身だしなみをチェックしてから家を出る。
ホント、鏡は女の子にとって必需品だよね。
終わり。
■解説
友人は老婆の顔で写ったということは、この鏡は店の店主の言うように死に顔が写るというのは本当である。
だが、語り部は変わらずに写るということは、近いうちに語り部の元に死が訪れてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます