第71話 暗殺者

男は孤児だった。

すぐに政府に引き取られ、暗殺者として育てられた。

 

政府の命令で、様々な人間を屠った。

他国の要人や、反政府の人間、女性や子供など関係なく、男は殺した。

指令の紙に書かれた人物であれば、誰だろうと殺す。

そう、育てられていた。

 

しかし、男に良心がないわけではなかった。

殺しの後は心が重く、眠れない日が続いた。

いや、男がゆっくりと眠れた日などない。

 

そして、ついに男の心に限界が訪れた。

体も衰え、一発で仕留められないことも多くなっている。

 

男は政府に引退したいと申し出た。

政府は男を説得しようとしたが、男の意思は固かった。

 

政府は折れて、男の引退を認めることにした。

 

最後に、1つだけ仕事をして欲しいと、政府は男に指令の紙を渡した。

 

男は指令の紙に書かれていた男を殺して、暗殺者人生に幕を下ろした。

そして、その日、男は初めて安らかな眠りについた。

 

終わり。














■解説

政府が最後に渡した紙には、暗殺者の男の名前が書かれていた。

男は自殺し、暗殺者人生を終わらせ、安らかな眠りについた。

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