第66話 お前は誰だ
やってはいけないことの中で「お前は誰だ」ってやつ、知ってる?
鏡の前で、鏡に映る自分に「お前は誰だ?」って問いかけるやつ。
あれって、昔、どっかの国で実際に実験をしてやった人の精神が崩壊したらしいね。
でもさ、なんか嘘くさくない?
そんなんで、精神が崩壊なんてするのか?
そう思って、友達とノリでやってみようってことになったんだよね。
で、ただやるだけじゃ面白くないってことで、どっちが長く続けられるか賭けをしたんだ。
5日くらいした頃、友達がギブアップした。
つまり、俺の勝ち。
けど、俺の方は特に問題ない。
友達は俺にももう止めた方がいいって言ってきたけど、俺にしてみれば全然余裕だった。
だから、どこまで続けられるかをやってみたくなった。
習慣っぽくなってきたし。
でも、友達からな何度も止められた。
だから、ウザいと思って、友達には止めたと言って誤魔化してた。
それでも友達からはホントに止めたのか?ってしつこく聞かれてたんだけどね。
ホント、なんともない。
全然大丈夫だ。
きっと、俺の精神力はかなり強くて、こんなんじゃ精神なんか崩壊したりしないんだろう。
けど一つだけ気になることが出てきた。
それは頻繁に変な夢を見ることだ。
目を覚ますと、俺は病室で手足が縛られた状態で寝かせられてるの。
で、周りの看護師とかに、「ほどいてくれ!」って言っても、冷たい目で見られるだけで、何もしてくれない。
まあ、それだけなんだけどね。
ただ、妙にリアルなのが嫌かな。
でも、まあ、最近はその夢もあんまり見なくなってきたんだけどね。
終わり。
■解説
語り部は「お前は誰だ」で精神が崩壊している。
縛られている夢が現実の方で、精神病棟に入れられている状態。
最近は夢を見なくなったということは、語り部は段々、現実世界に戻って来れなくなっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます