第64話 復讐
私の息子が殺された。
子供が殺されるのは、これで3人目だ。
最初の子は私も事故だと思っていた。
道路に飛び出して、車に轢かれてしまった。
ひき逃げだった。
でも、2人目と3人目は絶対に違う。
殺意を持って殺されたと私は知っている。
なぜなら毒殺だったからだ。
警察はアレルギー反応によるショック死だと断定した。
偶然、口にしたもののなにかにアレルギーがあるものを含んでいたのでは中とのことだ。
どうやら事故として処理したいらしい。
事故だなんて冗談じゃない。
保険金がおりてきたからといって、子供が帰ってくるわけじゃないのだ。
犯人は私を恨んでいる人間に違いない。
だって、3人だ。
子供を3人も亡くすなんて、あり得るだろうか。
いや、ない。
犯人は巧妙な罠を仕掛けて、子供たちを殺した。
何度も警察に言ったが、まったく信用してくれない。
子供たちには知らない人からは、どんなものだろうと貰ってはいけない。
そう、教えてきたし、子供たちはその教えを守ってきた。
なのに子供たちはアレルギー物質が入った飴を食べている。
つまり、顔見知りの犯行と言うことだ。
絶対に許さない。
私はこれから人生を掛けて犯人を捕まえて見せる。
私は、周りにずっとそう宣言し続けている。
なぜなら、私には子供がまだ2人もいるのだから。
終わり。
■解説
警察では、子供たちが、アレルギーがある、「なにか」を食べたことによる事故だと言っている。
つまり、警察の方でも、その「なにか」はわかっていない。
しかし、語り部は「飴」と断定している。
つまり、語り部は自分の手で子供たちを殺害している可能性が高い。
(子供に保険金をかけているのも怪しい)
そして、復讐してやると周りに言っているのは、自分に疑惑がかからないための演技である。
残り2人の子供を殺すために。
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