第48話 紛失したスマホ

今ってさ、ホントに便利になったよね。


スマホがあればなんでもできる。


逆に言うとスマホがなかったら、ホント不便、何にもできない。


スマホは肌身離さず持つべきだと思うよ。


 


その日、俺はデートだった。


最近、彼女は研究だか合宿だかで忙しくて全然会えなかったんだ。


だから、久しぶりのデートに、俺は浮かれていた。


 


こんなことを言うと、小学生かよって思われるかもしれないけど、楽しみで前の日はなかなか寝付けなかった。


 


で、目が覚めて、壁にかけてある時計を見たら待ち合わせの30分前。


 


めちゃくちゃ焦ったね。


すぐに用意して急いで待ち合わせ場所に向かったんだ。


 


まあ、10分遅刻して、彼女に奢る羽目になったんだけど、怒って帰られるよりは全然マシだ。


 


デートは上手くいって、すげー楽しかった。


楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。


 


外も暗くなってきし、俺は彼女に、俺ん家で飲まない?と誘った。


けど、明日は1限目から講義があるからって断られてしまった。


 


そういえば、俺も講義あったかなって思って、携帯でスケジュールを調べようと思ったんだけど、そのときに携帯がないってことに気づいた。


 


最初はポケットとか、カバンの中にあるかなと思って調べたけど見つからない。


ヤバい。落としたか? って思って、彼女から携帯を借りて鳴らしてみることにした。


 


彼氏と登録された番号にかけてみる。


周りで鳴っている音はしない。


つまりこの場には無いということだ。


 


もう一回鳴らしてみる。


誰かが拾ってくれたんだとしたら、もしかしたら出てくれるかもしれない。


 


しかし、俺の願いも虚しく、誰も出てくれない。


 


彼女が家に忘れたかもしれないよ、と言ってくれたので、帰って家の中を調べることにした。


 


家の中を調べてみたけど全然見当たらなかった。


 


ホント、携帯がないと暇でしかたない。


パソコンも持ってないし、何もすることがなかった。


 


だから、今日は早く寝て、講義が終わったら携帯屋に行くことにした。


 


次の日。


なんと、俺の携帯は大学の落し物のところに届いていた。


 


ふう、助かった。


 


ホッとして携帯を見ると1件だけ着信があった。


 


母からだった。


 


俺は久しぶりに母に電話を掛けた。


終わり。














■解説

彼女の携帯から「彼氏」に登録された番号に掛けたのに、語り部の携帯には母親からしか着信がなかった。


つまり、彼女の携帯の「彼氏」には別の人の番号が登録されていることになる。


そして、しばらく会えなかったのも、彼女が彼氏と会っていたという可能性が高い。

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