第16話 肝試し
私は中学校の教師をしている。
毎年、思うのだけど、大体、クラスに1人や2人は問題児がいるものだ。
だけど、今年はクラスに問題児が4人もいる。
私は毎月、この問題児のために、頭を悩ませられる。
うちの学校には旧校舎があり、そこには幽霊が出ると昔から噂がある。
ある夜、その問題児の親から連絡がきた。
なんでも、友達と旧校舎に肝試しに行ったらしい。
だから、連れ戻して欲しいと言われた。
正直、自分の子供なんだから、自分で行きなさいよと思ったが、そんなこと言えるわけがない。
渋々、旧校舎へと向かった。
中から丸い光が4つ見える。
やっぱり、あの4人組で肝試しに来ているらしい。
中に入って、怒鳴りつけると4人は散り散りに逃げていく。
面倒くさいと思いながら、後を追いかける。
廊下の隅、教壇の下、トイレの中で見つけた。
あと1人と、思っていた時だった。
突然、悲鳴が聞こえた。
慌てて、声がした方に向かうと、そこには驚愕の光景があった。
なんと、最後の1人が職員室で首を吊っていたのだ。
次の日、学校に警察が来て大騒ぎになった。
問題児3人だけじゃなく、私も事情聴取された。
3人も私も、その子が首を吊るほど悩んでいたようには見えないと証言した。
それはクラスのみんなや家族も同様で、やっぱり、何か悩みがあったようには思えない。
警察はきっと、誰にも言えないことで悩んでたのだろうと、捜査を打ち切った。
学校では、旧校舎の幽霊の呪いだという噂が流れたが、すぐに忘れられた。
終わり。
■解説
首吊りを見つける前、3人はその場にいたのに悲鳴が聞こえた。
一体、悲鳴をあげたのは誰だったのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます