33話 やがて世界は、闇に染まる

 ユイはユーマの背中で穏やかに眠っている。心にも身体にも疲れがでたのだろう。ユーマは、ソーマが待つ公園へと向かう。


 しかし、公園で待っていたのはソーマだけではなかった。


「ミオさん、どうしてここに」

「ユイさんの……復讐は、終わりましたか?」


 ユーマは驚いてキョトンとした。しかし、すぐに言葉の意味に気づく。


「……いえ、俺が止めました。でも、大丈夫です。俺もユイも必ず使命を果たすことにかわりはありません」


 ミオは安堵したように微笑んだ。

「本当は使命なんて関係なしに、私がユイさんを止めるべきでした……。ユーマさん、ありがとうございます」


 ミオは深々と頭を下げる。ソーマも後を追って、頭を下げた。


「仕方ないですよ。ミオさんにだって立場があるんですから……一族にだって苦労があることは十分わかっています」


「ユーマさんは、優しいですね。はじめて出会ったときよりも頼もしくなったように感じます」


 ユーマは少し頬を赤くした。

「そんなこと、ないです。まだ俺は弱いままで……それよりも、どうしてミオさんがここに? 何かありましたか」


 照れを隠したくて、ユーマは話題をそらした。


「……はい、非常事態、です。ユーマさんとユイさんの今の状況で言わなければならないのが、とても辛いのですが……」


 ミオの表情が暗くなる。嫌な予感がして、身体が震えた。



「ゲンジさんの読みよりも早く……封印が解けて、『幻影の扉』が開きました」



 やがて世界は、闇に染まる。

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