12月

@kuzunaseibutu

信じているもの

12月25日。

世間はクリスマスで賑わっている

子供はサンタを待ち

大人達は寒さに追われながら

夢を壊さぬよう過ごす。

聖夜だとほざいてカップル達は大盛り上がりだ。


自分はプレゼントなど貰えるような歳でもないということは分かっている。


クリスマスが近づいてくると

子供達は笑顔になり

欲しい物を見る顔はキラキラと輝き

トナカイの鈴の様。



貰う側とあげる側しか違いは無いのに


どうしてあんなにも輝いて見えるのだろうか

幼い自分が幸せに映るのは何故だろうか

それなりに悲しいことや泣いたことだってあった

辛いことだってあった。

子供には子供の辛さがあった。


何故だろうか

羨ましいと思うのは

戻りたいと思うのは


そんなことを思うも無慈悲で

頬を刺すような寒さと

ストーブの灯油切れの音で現実に戻される。

ピーピーピーッ(灯油切れの音)

「はいはいはい、うるっさいなぁ...!!今やりますよ、」


「はぁ...あの頃は良かったなぁ..」


灯油切れても自分でやらなきゃいけないし

自分のことは自分で

それが私の頭にも

世間の頭にもこびり付き離れない。


まただ。

私の悪い癖だ

すぐ ”あの頃”と比較し

溜息を吐く


私の周りの大人も言っていた


「あの頃は良かった」と。


そんな時

私も大人になってしまったんだと実感する。


クリスマスを信じなくなった今

一体 私は何を信じているのだろうか

次は何を信じるのだろうか

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