じゅうわめ 少女生活とは

「んんー。ねむ~い」


始業式から土日を挟んで今日から普通の授業が始まる。


朝に弱い私は目をこすりながら姉に着替えをさせられている。(自分でやろうと思えばできるもん)


にしてもスカートというものはどうしてこうもスースーするのだろうか。なんか落ち着けない。

制服だからしょうがないか…


美里・姉「おはよー」


着替えが終わり一階へ降りるとスーツに着替えた父が新聞を読みながらテーブルについていた。


(ザ・お父さんだな)


テーブルには朝食が並んでいる。


父「おはよう。美里、千香」


母「おはよう。早く食べないと学校遅れるわよ」


なんか昔に戻ったようだった。


姉「美里?」


姉が何故か心配そうにこちらを見てきた。

どうやら私は涙が出てたようだ。


「ん?欠伸が出た」



────

──


「安田さんありがとう」


学校まで送ってくれた安田さんにお礼を言い私は駆け足で校門を潜る。


靴を履き替えているとこの前のペンをぐるぐるとして何かを書いていた女の子が居た。


この前のこともあり彼女には話しかけにくい。


話しかけるか悩んでいると彼女は靴を履き終え何処かへ行ってしまった。


下駄箱の名前を見ると【寺島海(テラシマウミ)】と書いてある。


──


教室に入ると叶笑ちゃんが抱きついてきた。


「うひぃ」


驚いて変な声が出てしまった。

というか今女の子に抱きつかれてる!?


プシュー


私は頭をショートしてその場に固まってしまった。


「美里が困ってるわよ」


絵莉が助けに来てくれた。


ギュ


紗香「って言いながらなんで絵莉も抱きついてるのよ」


何故か絵莉も私に抱きつき、そろそろ私は限界を迎えそうだ。


「もう。ズルい!私も」


ギュ


(あっ…おわった)


私は限界を迎え魂が何処かへ旅に出てしまった。


ガラガラ


その時先生が教室に入ってきた。これで私はこの状況から開放されるだろう。


「さぁ。皆さん席につ……」


(ん?様子がおかしいぞ)


頑張って先生の方を見ると何故言葉が止まったのかがわかった。


《尊い》


先生は私達を見て尊○してしまったらしい。


まさか先生が百合好きだったとは…


────

──


キンコーン


4時間目の授業を終え、私達は給食の準備をしていた。


(今週は給食当番かぁ…めんどくさいなぁ)


重たい食缶を持ち上げるとクリーミィなシチューの香りがした。


自然と私はいつも面倒くさがられる食缶担当に回され、汁碗にシチューを注ぐ作業を永遠と繰り返している。


「人参抜いてくれないか?」


途中ある男子がそんな事を言ってきた。


(いちいち人参抜くのめんどくさ)


そう思った私はその男子に断りの返事をした。


「好き嫌いは駄目だよ」


そう言うと何故か男子は動揺した顔になった。


「おっ。おう…」


不思議に思って顔を追うとちょっと紅くなっていた。


(なんか…)


「美里ちゃん。おーい」


突然呼ばれて驚くと目の前にお盆を持ってシチューを待っている叶笑がいた。


「ごめん。ボーっとしてた」


──


やっと全員に配膳が終わり、自分の席に戻った。


「いただきます!」


やっと食べれるとスプーンを持ってシチューを大きな口に運んだ。


(うんっまぁ〜)


久しぶりの給食を噛み締めていると向い合せにして座っていた紗香が話しかけてきた。


「美里ちゃんこれ…」


そう言うと紗香はスプーンいっぱいの人参を差し出してきた。


「人参ニガテなの?」


「うん…」


紗香は恥ずかしいのか目線を反らしてモジモジしている。


「人参結構美味しいよ。甘いし」


「でもぉ…」


ニガテならしょうがないと思ったが、ついさっき人参がニガテな男子に食べろと言ってしまったため、言いにくい。


(しょうがない。どうにかして食べさせよう)


私は紗香の持っているスプーンを取った。


「ほら。口開けて」


差し出されたスプーンを差し返し、私は紗香の口が開くのを待った。


「う~ん…わかった」


紗香は決心して口を開いた。


「あーんっ」


目をつむりながら紗香はスプーンいっぱいの人参を口に入れた。


「んっー」


しばらく目にシワを寄せていたが飲み込む頃には和らいでいた。


「どうだった?」


私がそう言うと紗香は目を開けた。


「甘くて美味しい…」


「でしょー」


それからは、人参を克服した紗香は笑顔でシチューを食べていた。



その一方突然の『あーん』事件を目撃した葉月先生は本日二回目の尊○をしていた。



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