TS小学校
ろくわめ また、はじめまして
綺月先生に連れられ、私は4年2組の教室の前に来ていた。
「それじゃあ入ろうか」
懐かしい校内を歩いているとあっという間に教室に着いていた。
ガラガラララ
綺月先生が教室の引き戸を引くと、そこにはかつての同級生たちが待っていた。と言っても、今もだが。
みんなは戸が開くと習性のように入ってきた人を見る。
見たときのあるような、ないような顔が沢山ある。
友達と窓側に寄っかかって話す人達、1つの机に集まって話す人達。ある程度グループ化されているようで、5グループ別れている。
前の私なら、どこのグループにも属していなかっただろう。途中から小学校に通うようになった自分は人との話し方が分からなかったから。
しかし、今回は様子が違うようだ。
「美里ちゃん!久しぶり!」
手前に固まっていた5人グループからツインテールの一番明るそうな女の子が私を見かけるとすぐに話しかけてきた。
「叶笑【かなえ】。先生言ってたでしょ」
後ろの方からロングヘアのちょっと暗めの子が出てきた。
「あっ。ごめーん。忘れちゃってたんだったね」
「もぉ~。叶笑はお転婆なんだからー」
次は外ハネの2番めに明るそうな子が出てきた。
「はいはい。とりあえず、改めましての自己紹介は後でやるから、早く座りなさーい」
綺月先生が手を叩くと生徒たちは素早く自分の席に戻った。
「というわけで、今日から美里ちゃんとまた授業を受けれることになりました。みんな仲良くね」
先生と一緒に黒板の前に立つ私は、転校してきたみたいに少し緊張していた。
「それじゃあ。美里さんの席はあそこだから」
教室の黒板側、出入口に一番近いところに空席があった。
私は人の視線を気にしながらその席につく。
「やった。美里ちゃんと隣だ」
と小さな声で隣の席の女の子が言ったのが聞こえた。
私が座ったのを確認すると先生が話しだす。
「本日は始業式です。皆さん椅子を持って体育館に行きますよ」
────
──
体育館に着くとそこにはもうほとんどのクラスが来ていた。
体育館には『ゴォォォ…』とジェットヒーターの音だけ響いている。
ジェットヒーターをつけたばかりなのかまだ少し寒い。
「横山さん。椅子は横と縦をみんなと合わせて綺麗に置くんだよ」
先生に私の面倒?を任された出席番号が私の後ろの吉田くんが丁寧に教えてた。
記憶喪失設定の私は何でもかんでもこのように教えられる。地味に大変。
椅子を並び終え、私達は静かに始業式が始まるのを待った。
ジェットヒーターを点けていたが、体育館は晩秋くらい薄っすらと寒い。
全員が揃い、先生たちが担当のクラスから離れると場の空気が変わり、司会の先生が話し始めた。
「これから始業式を始めます。礼」
────
──
始業式が終わり私達は教室に戻っていた。
にしても寒すぎだ。凍え死ぬかと思ったぞ。
「では、この時間は久しぶりに会った友達とのお喋り会にしましょう」
始業式が終わり4時間目、総合の時間は先生の粋な計らいにより友達とお喋りの時間になった。
「それじゃあ、周りの教室に迷惑かけないようにお喋り初めてください」
先生がそう言うとみんなは各々お話したい人で集まり始めた。
私のところには朝お話した叶笑ちゃんとロングヘアのちょっと暗めの子、外ハネの2番めに明るそうな子が来た。
叶笑「美里ちゃん!お話しよ!」
美里「い…いいよ…」
叶笑「あっ。友達紹介するね。この子は絵莉【エリ】ちゃん。んで、この子が紗香【サヤカ】ちゃん」
紗香「また。よろしくね」
絵莉「よろしく」
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