第5話 冒険者ギルドと最強の剣【紫雨】
「おかしい」
翔は頭を抱えていた。
それは一向にモテないことだ。
ここ一週間、顔が良いとは言われてはいるが、話しかけられることは無い。
それどころか一人も話し相手がいない。
勇気を出して明愛さんに話をかけてはいるが、あまりいい反応は帰ってこない。
やはり何か特出したものを披露しなければならないようだ。
「冒険者登録でもするか…」
世間では一番地位と名誉を築くことのできる職業は冒険者だ。
と言っても、一握りの強者に限るのだが。
冒険者ランクはS級、A級、B級、C級、D級の五つの階級に別けられており、S級クラスになると月収で億を超えるという話を聞く。
ちなみにお金はスキルの複製では増やせない。
お金には何かしらの魔法の縛りがあり、増やすことは今のところ出来そうにない。
つまりお金を稼ぐためにも、そして地位と名誉を築くためにも冒険者で上のランクを目指すのが手っ取り早い。
そして翔は大手冒険者ギルドである東京第一冒険者ギルドへと足を踏み入れた。
「すごいな…」
ギルドに入ると多くの冒険者達が武器をこしらえて居る。
そこには依頼の話をする者や、掲示板で依頼を見る者達、ざっと見ただけで100人以上。
カウンターには綺麗な女性、受付嬢も10人ほど見受けられる。
「どうなされました?」
俺は受付嬢が対応しているカウンターに並び、対面する。
「冒険者資格を申請したいんですが」
「わかりました。
ではこの書類に記載をしていただいた後、このギルドカードに血を垂らしてください」
そう言われて書類とペン、そして何も書かれていないギルドカードを渡される。
その後、書類に記載をしてギルドカードに血を垂らす。
「おぉ!凄いな」
すると真っ白だったギルドカードは紫色に変色していき、自分の名前と冒険者ランクが記載された。
「これで良いんですか?」
「はい。これで晴れて冒険者の仲間入りです。
冒険者ランクは魔石や素材を私たちギルドに換金する際に冒険者としての資質を私達が見極め審議し、また依頼をこなしていくことで上げることが出来ます」
つまり魔物を多く、また強い魔物を倒し、依頼をこなしていけばランクを上げることが出来るんだな。
「わかりました。ありがとうございました」
「いいえ、頑張ってくださいね!」
ただでさえかわいい顔なのに笑顔を向けられると惚れそうになる。
透け眼鏡を取り出しそうになったが、ここはぐっと堪える。
あくまで今は冒険者ランク上げが優先だ。
最近はダンジョンにも行っていなかったため、ステータスはゴブリンと接戦を繰り広げた時のままである。
翔はギルドのトイレに籠り、あるモノを生成した。
『初心者向けの最強の剣術武器』
すると魔法のポーチからは紫色の日本刀が鞘付きで現れる。
鑑定スキルで紫色の日本刀を鑑定する。
名前:紫雨(しぐれ)
LV1
攻撃力:1000
魔力:10000
能力:
魔力を纏わせやすい
剣術スキルアップ
剣のセンス
さらに魔法のポーチから無限にものを入れることのできるポーチを生成する。
これにより魔物の魔石や素材などを無限に入れることが出来る。
これをさらに複製スキルを使って物によって入れるポーチ別に生成する。
「これだけ準備万端なら…」
少し不安な気持ちを持ちながらも、翔はギルド近くのダンジョンへと向かって行った。
ダンジョン名:海木の洞窟
1階層にて、翔は大きなコウモリと対峙していた。
紫色の刀、紫雨を手に、コウモリが接近してきたところを翔は翼を切り落とし、心臓を突き刺す。
「使いやすい、、それに魔力を纏いやすい」
武器や身体に魔力を纏わせたりすることが出来るのだが、俺は今まで纏う事や魔力のコントロールをうまく出来ないでいた。
しかしこの剣には魔力を流し、纏わせることが出来る。
コウモリは鑑定した所、毒持ちであった。
だから触れることなく倒していかなければならない。
そしてそれは他の魔物も同じようで、このダンジョンの魔物は毒や生物に対して状態異常を起こすといった共通点があるように伺える。
翔は近くにいたこちらを睨みつけている二、三体のコウモリを丁寧に時間をかけて切り倒し、魔石を回収すると魔法のポーチから状態異常無効のスキルの実を口にした。
こうなればこっちのもんだ。
ここのダンジョンの魔物はあまり素の戦闘力は高くない。
状態異常無効スキルを手に入れた今の俺にとってはゴブリン以下である。
翔は油断禁物を保ちながらも、スピードを上げて魔物を狩り始める。
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