第3話 馬車の一時
馬車の一時
友達がみんな亡くなってしまったのはショックだったけど……なぜか僕はその気持ちが消えていた……。
僕自身、恨みを持ったのは初めてだったからこれが当たり前なのかよくないのかはわからない……。
――馬車で目的地へ移動中――
「馬車で来てたんですね」
初めて馬車に乗った!
てっきり……走って来ていたものだと思っていた。
馬車を引いてくれているのはピアレスさんだ。
しっかり感謝は伝えてなきゃ。
「ピアレスさん、馬車ありがとうございます!」
「おう!いいってことよ!」
ほんとにピアレスさんはいい人だと思う。
それにしても険しい山道だったな。
初めて下山した……。
「結構高かったんですね、この山……」
「それもそうよ、このボルケーノ山はこの国でも一番高いと言われているわ。そういえば君らと年はいくつなんだい?」
一番高かったんだ……意外だ。
すごい山に今までみんなといたんだな。
「俺は11才」
チャックが年齢言って聞かれていたのを思い出した。
「あっ、僕は8才です」
「はぁー、8才でこんな敬語使えるのかー……。立派だ!私では、ありえないね。私が8才ぐらいの時は兵隊さんの顔面殴って気絶させていたわ……。11才はまあ妥当なガキ具合だね!」
「……ガキ?俺が?」
チャックが俺よりもガキだと言われて固まった。
「て、いや!!、とんでもないことやりましたね!兵隊さんを殴った?!よく今、落ち着きましたね……」
「ふふ……大丈夫。私でも恐ろしかったとは思っているさ!」
「「「思っていなかったらおかしいですよ!!!」」」
僕、チャック、ピアレスさんのツッコミが重なる。
「わかってるわ!!!」
ツッコミにツッコミが重なる。
「「「なら……まあ……いい……のか……?」」」
「はぁー……。ま!ガンビアくん、立派なのはいいけど子どもは子どもらしくするのも大事だぞ!疲れちゃうでしょ……やっぱり大人のように振る舞うって……。無理しなくていいんだよ……」
「子どもらしさ……か……」
僕の隣にチャックが座っている。
目の前にフェスト姉さんでそのとなりにアーバアがいる。
落ち着いてフェスト姉さんを見ると……。
ほんとに容姿端麗だ……。
顔が小顔で……身長が……と考えていたら。
チャックが口を開けて話した。
「おい、おまえ変なこと考えなかったか?8才で考えるってどんなエロガキだよおまえw」
にやにやしながら聞いてきた。
バレ……たかな。
「いや?別に?考えてないよ!」
ごまかせ、ごまかせ。
どうにか上手く……。
あっ!
そうだ……この手があった!
「ちなみにフェスト姉さん、今はどこに向かっているの?」
子どもらしさの表現でタメ口を使って話してみた。
隣からすごい圧を感じる……。
まがまがしい魔力が出てるみたい……。
おまえ何、話題変えて逃げようとしてんだって言ってるような目で僕を見てくる。
チャック……これが逃げるが勝ちってやつさ。
覚えときな……、まっ聞こえてないか……。
「今向かっている場所は、侯爵領のいやこの国の……重要都市の一つ、ザンブルクよ!。近いからすぐ着くわ。少々お待ちを!」
「……マジで?」
確認でフェスト姉さんを見たら頷きながら言った。
「おおマジよ!」
いや……マジか。
どうしよう……なんとなくノリで馬車に乗っちゃっていたんだけど……。
それに……今頃だけど、僕は思えば……。
「フェスト姉さん、僕……身よりもお金もないんだけどどうすればいいの?」
「あっ、俺もない」
チャックも慌てて言った。
「それなら問題ないわよ。安心しな!さっきも言ったけど君たちは保護された形だから安全は私たち公爵家が保障するわ!そして私が今後は私が育ててあげるわ!」
あれ?
言われたっけ?
言われてない気がする。
疑問に思っていたらフェスト姉さんとピアレスさんがコソコソ話し始めた。
「フェストさん、言ってないですよぉ……」
「……あっ、ほんとぉ?それは失礼!私としたことが……、忘れてたわ!ごめん!」
「大丈夫ですよ!こちらこそ保護していただきありがとうございます!」
謝られたから焦って大丈夫だと伝える。
「まっ、そんなこんな話していたら見えてきたぞ!」
フェスト姉さんが前を指差ししながら言った。
無事帰る道で襲われなくてよかった。
「あれが……、この国が誇るザンブルクなんですか?」
「そうよ!活気があるでしょ!」
「うん……、初めてこんな発展した場所にこれたよ」
気づいたら涙が溢れてしまった。
「「それじゃあ二人とも……ようこそ!シュナード公爵領のザンブルクへ!!」」
フェスト姉さんとピアレスさんが二人で言ってくれた。
僕もチャックと目を合わせて……今歓迎されて嬉しい気持ちを立ち上がって表して言った。
「「おじゃましまぁーす!!」」
――彼……ガンビアの物語はこの街を拠点としてより広がっていく――
――場所が変わりシュナード公爵家の家の中での話――
「フェスト=キンダーより伝令がきました。シュナード公爵。」
「内容はなんだ?」
「探していた例の子を見つけだすことに成功し無事保護したそうです」
「そうか……、それはよかった」
「はい」
「それにしても急だな……きっかけはなんだ?」
「彼が見つかったきっかけは、アーダというものが起こしたとされている子供虐殺事件にてフェストがパトロール中の時不穏な空気が流れていたため、ボルケーノ山に登ったところで出会いました」
「その事件か……。フェストには感謝を後で私自身が直々に伝えた方がいいだろうな……。例の子も運がないものだ……可哀想に。アーダにはしかるべき罰をあたえろ。未来を生きる権利がある子どもたちを殺した報いはしっかりと受けさせるべきだ。前も聞いた話だが……この事件の捜査はやはりできないのか?」
「……はい。捜査はできません……。」
「……王様の判断は絶対だ。仕方ない。諦めよう」
「えぇ……。おっしゃるとおりかと。そして最後に……」
「なんだ、まだあるのか……」
「はい。先ほど話した子どもですが、そこに生き残りの子どもがもう一人いたらしくその子も保護してきたそうです。フェストが公爵様の軍部のところへ連れて行き育てるそうです。」
「またあいつは勝手に……わかった。しっかりと責任をもって育てろってことと後でその子どもたちを話してみたいから俺に会わせるよう伝えてくれ。よろしく頼む」
「はい。かしこまりました」
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