何かがおかしいねえ


もう何回目を覚ましたかこれもう分かんねえなって思いながら目を覚ました。

うん、”また”なんだ。すまない。

謝って許してもらうとも思っていない。

でもこれを見た時、君の心にはそう例えば「安心感」のようなものが感じられたと思うんだ。

”お約束”だからね。本当に申し訳ない。


どうやらいい加減慣れて来たらしく

頭の中でテンプレートな文章を思い浮かべていると、

三回ほど見た宿屋の天井がそこには見えた。よし起きよう。

バイトになって八百屋さんに会いに行かねば。


しかし女将さんは今何処にいるのだろう?

あの時はアズ君さん(天使)が呼んだから気づいたはず。

スープ貰ったからお腹も空いてないぞ。

…それってタイムパラドックス的な事が起こるのでは?


「おーい、誰か居マセンカー」


出だしが小さい上に語尾が消え入るような早口になるという陰の者特有の発声だが、実は元の声はでかいほうだ。なんかどうしても恥ずかしくなってしまって人前だとこれ以上の声が出ないのだ。家族なら大丈夫なんだが下手するとなんかの病気かもしれない。直す方法も知ってたらやってる。


「おーい」


それでも誰も来ないもんだから段々気が大きくなって声がまあまあ出るようになって来た。階段を下り、カウンターのある店内を彷徨い、裏の準備口へ抜けても誰も居ない。

その時だ。


「あっお前こんなとこに居たのか!」


俺の嫁ェ!


「急に居なくなるから心配したんだぞ!」


…?


「えっ?」


「あらあら、裏に居たのね?まだお腹が空いてたのかしら?」


女将さん!


「だ、大丈夫デス…」



「見つかって良かった…お茶、冷めちゃうよ?」


え?素敵腹筋少女まで?


しかもみんなが事情があるのだろうと勝手に察している表情をしている

これをどうにかするには…ええと…


「スイマセン、急にお腹が痛くなって…アノ…ゴフジョウヲ…」


「あら!ごめんなさい、まだ場所を教えてなかったわ!」


凄いぞ私。一瞬で話がまとまった。


「…チッ」


えっ今明確な悪意が


「あー面倒だ、やめだやめ」

「…天使様?」


「ああ気にしないでくれ、俺はこれが素なんだ」

「か…かっこいい!」


突然のパンクロックに銀髪少女が目を輝かせた。

…ひょっとしてもう一回騙されかけたのか私は…?


いやそうか、私はすっかり公認だと思ったけれど。

天使様はまだ抗う気でいたのだ。

じゃあ私の神への怒りは正しかったのか。

なんて察しの悪い奴なんだ私は。


…とりあえず銀髪少女はなんでこっちにいらっしゃるのか、訪ねてみる事にしよう

そう決めた矢先


「お花摘みはこっちよー」


「アッハイ」


これで良いのか私。

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