第28話
事務所から帰宅して数日後、労働局から電話がかかってきた。例の、女性職員の話を聞くのはずいぶん久しぶりだというきもちがした。弁護士のところで、紛争が決着したので、その連絡が労働局に行ったらしい。
私が、「会社とのトラブルってみんなこんなんですか?話し合いって、お金の話し合いだけして終わり。元の会社に戻れるわけじゃないし…といっても、戻りたいわけじゃないですけど」
女性職員「あら、お金は誠意よ。それに戻っても居づらいだけよ」と笑った。
誠意ってお金のことなのか。学校では教えてもらえなかった。ある種の人たちにとっては、ごめんなさいを言うことは決してできないから、お金でトラブルをなかったことにするのか。
いま何をしているのか?と訊かれたので、引っ越ししてその大家の紹介で、賃貸ビルの清掃を午前中だけやっていると答えた。女性職員が「それで暮らしていけるの?」と訊くので、「この先、仕事を追加する必要がありますね」と言った。
女性職員は、労働局にもう一度来ませんかと言った。実はあの弁護士の先生から相談があって、あなたはには専門のカウンセリングが必要じゃないかってアドバイスがあった。カウンセリングを受けたあとで、もっと安定した仕事を一緒に探しましょう、そう女性職員は言った。
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