第23話

私は「パソコンですか?…使えません」と答えた。

大家は「なんで?若い人はみんな使えるんじゃないの。あんた、前は何をやっていたの」と言うので、前職は量販店の雑用だった、事務系の仕事は総じて苦手である、特に金銭管理がダメ、不特定多数の人と直接会う仕事も…と正直に話した。

若い人は全員、パソコンに詳しいものだと決めつけられても困ってしまうが、この先、ハローワークから再就職しようと思えば、パソコンも慣れておく必要があるなとぼんやり考えた。そういうの、みんなどうやってできるようになったんだろう?私には聞く人もいないので知らなかった。私が、ノートパソコンを使ってできることは、メールチェックとネットサーフィンくらいだ。新しい仕事に就くのなら、軽作業がいいのだろうか?事務系は無理ぽい。というより絶対無理。

貸しビルの清掃バイトの賃金は、新しいアパートの家賃と相殺になった。引っ越しは物入りで、礼金敷金もあるし、若干借金が残った。でも、清掃バイトは休まず真面目に続けた。大家はときどき見にきて、ビニール袋に入れたくだものをくれたり、世間話をしたりした。

新居と新しい仕事に私は忙殺されていたが、点点の様子は思わしくなかった。

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