第18話

アパートの管理会社から電話があった。私が、引っ越し先が見つからない上に、あまりお金がないという話をすると、近くに同じくらいの家賃のアパートがあるから引っ越せばいいと言われた。もちろん管理会社は引越し代なんぞ肩代わりしてくれないが、敷金は戻ってくるのでそれを当てればよかった。単身で近所に引っ越すのなら引越し代も一二万でおさまるだろう。今のアパートは、私が退去しなければ、耐震強化のための工事が始められない。私が「保証人が立てられないんですが…」と言ったらそれでもいいと言うので引っ越しに応じることになった。

二日後、アパートの管理会社が引っ越し先として紹介してくれたアパートを見に行った。現在のアパートと同じの家賃だったが、日当たりもよく、新しいアパートの方が綺麗だった。現在のアパートは、外観も中の水回りもあまり綺麗でもお洒落でもなかったが、新しいアパートはちょっとランクが上がったような感じだった。そして大家という60歳前の中年の女性に会った。初対面で、挨拶を交わすと、その中年女性に、上から下までじろじろ見られた。お仕事は?と訊かれて、今は無職ですと正直に答えた。大家は何も言わなかったが、あとでアパートの管理会社から早く仕事を探してくださいねと念を押された。

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