第16話
その日は、そのまま弁護士事務所から帰ったが、その数日後、弁護士から電話があった。証拠が不十分で、弁護士が私に質問しても事実の確認が難しいということだから、和解条件として慰謝料を下げて欲しいという派遣先の会社の意向だが、それについてこちらで承諾をしてもいいかという。派遣会社は相変わらず「その派遣スタッフについては弊社としても十分な対応をしたので慰謝料は支払わない」という態度らしかった。
派遣先の会社がどのくらいの慰謝料を最初に想定したいたのかなんて私にわかるはずがない。慰謝料の相場ってどのくらいなんだろうと思った。私が「どのくらい下げるんですか?」と訊いたが、「それをこれから話し合う」と弁護士は言って電話は切れた。
お金はないし、いまのアパートから引っ越す必要があるし、新しいアパートの契約も初期費用があるし、弁護士費用とかも支払うのだろうし(弁護士は法律扶助があるからそれほど負担にはならないですと言っていたが)、和解によりなにがしかのお金をもらえたとしても大金じゃないだろうし、卵詰まりの点点をタクシーに乗って、動物病院に連れて行った時に2万円飛んだし、どうしたらいいのだろうと不安になった。
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