第5話

春はインコたちにとってしんどい季節だった。日本では発情期と繁殖期が続く、春先に落鳥するインコが最も多い。鳥も飼い主も神経質になる季節だ。


昨年は、1羽が体調を崩して慌てて動物病院に駆け込んだ。保険がきかないので、今年もまたお金がかかるかもしれない。そういえば…アパートの管理会社が相談したいことがあるって電話してきていたっけ。


お金の件はなんとかしなくては。かといって新しい仕事を見つける気力がなかった。前職はなぜ無くなったのか?

わけわからないのに、次の仕事を見つけても、同じことになるのではないか。


私は労働局へ行ってみることにした。何か請求したらもらえるお金があるんじゃないかと思ったのだ。失業保険とか、制度についてはよくわからないけど、会社から送ってきた薄い書類の入った封筒を持って労働基準監督署へ行った。


労働局は合同庁舎の1階にあるらしかったが、建物の大部分に青いカバーがかかっていて、外から見えないようになっていた。工事中らしい。どこから入ればいいのかわからなくて、建物をぐるりと回って入口らしい場所にきた。

警備員が立っていたので、労働局ってどこですか?と訊いたら、「相談の人?じゃ、この紙に名前と連絡先を書いて」と渡された。紙を警備員に渡すと、入ることができた。

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