第4話

その翌日の午後に、派遣会社から話があると言われて、シフトの後で担当社員と会った。トラブルの内容が派遣先から派遣会社にクレームとしていったらしいことは理解できた。


でも、あなたの仕事は来週からありませんと言われて、困った。本当に困ったが、抗議すると昨日のように、会社の人たちに怖い目に遭わされそうで黙った。職場の都合だけで、たとえ派遣とはいえそんなに簡単に切れるものなのか、知らなかったけど、何も言わなかった。学校に通っていた頃からそうだけど、だれかに対して、世界に向かって、私が「抗議」してうまくいったことが一度もない。


仕事を失ったのはかなしかったが、中には良かったこともある。


インコの世話の時間がとれること。アパートで、2羽の姉妹インコと同居していた。点点とガサコ。ちょっと変わった名前かも。点点は頬の羽根の黒い点がはっきりしているから点点と名付けた。ガサコはちょっと落ち着きのない子で、飼い主の姿を見つけるとすぐに止まり木の上を右往左往する。エサ入れをひっくり返す。ごはんの時間になると、大きな声で飼い主を読んで大騒ぎをする。がさがさと動き回り、落ち着きがないのでガサコになった。

年齢ははっきりしない。5歳は過ぎているはず。3月初めだが、2羽とも発情期を迎えてすぐに噛みつく。

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