天涯孤独

てんがいこどく/その血に連なるものは彼しかいない


「大統領閣下。一つの事実が判明いたしました。あの者は、生命体です。生命反応が確認されました」

「なんということだ。あのようなものが、どのような進化の果てに?」

「生命体ですが、地球生命としての遺伝子は持っていないようです。かつてこの地上に存在した、いかなる生命とも繋がりはありません。つまり、ダーウィンの進化の系譜の中に連なるものではなく……太陽系の外か、あるいはこの宇宙以外の何処か。そのような場所から、この地球にやってきたものであると考えられます」

「ふむ……生命であるということは、死の観念も持っているということか?」

「恐らくは。あれは純粋な炎ではありません。炎のように見える何か、です。何らかの、抹殺の手段が存在するはずです」

「分かった。……博士の進言通り、核兵器の使用を許可する」

「イエス、ミスター・プレジデント」


 炎は既に大陸を呑み尽くし、人類の半数を死滅させていた。奴は、はやかった。

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