第14話 錬金それと

【チャプター1 不知火キナの戦い】


 ヒノエミツキ、やってくれたな。よもや儀式を強制開始するとは──。


 眼前につどうは四人の錬金術師。死國における最高戦力にして、それぞれが“キナさんを超える”実力者だ。


 傍らのつーはこの場において実力不足。弟の存在を無視し、初めから全出力で挑むほかない。だとしても勝率は向こうにはるか軍配が……。


「ん?」


 なぜ攻めてこない。四人はこちらの出方をうかがっているのか、静観の姿勢をつらぬいている。いや……、まて、おいおい!


「貴様ら、どこを見ている!」

 四人は互いをにらみ合い、アイコンタクトと似て非なる、けん制の眼差しを交差させていた。そういうことか──。


「キキ、とんだ“タヌキ”さね」


 錬金術師の至上命題、“極地への渇望”。

 万物を支配し、おのが真理を最果てへと導く、我らはあくなき知識欲の化身にして。

 ともすれば神獣の権能はおおいに役立つから──。


「死徒となったのは、はなから“漁夫の利”が目的か!!」


 およそ至高とよべる錬金術師が一堂に会することで、場は即席の決闘場とあいなった。

 実力は拮抗し、全員を屠ることは難しいから。互いを殺しあわせることで、戦力を分散。ここぞの勝利をつかみ取ることができれば、頂点へいっきに駆けのぼれると。


 こやつらはもとより、神獣の守護など眼中になく。儀式を利用し自らが器となることこそ──。

「なめやがって」


 十年だ。キナさんは十年間、この地で儀式のための用意をしてきた。他国の任をつーに依存するほど、キナさんは儀式に固執してきた。


 すべてが、貴様ら“全員”を相手取るための幾年月。敗北すら覚悟していた空想、キキ、これではとんだ被害妄想。


 ここにきて『勝ち』をチラつかせてからに。


「嗚呼」

 高鳴るじゃないか。


 ならば、勝利をより盤石なものとする──。


「つー、ひとりまかせた」

 弟を遠く吹き飛ばす。


「奴はキナさんより強い。思考を回せ、想像力を愛撫しろ。勝って不知火を証明するさね」


「それが友を救うなら、まかされました」

「いい泣きツラだ」


 そでをめくる。腕にはおびただしい数の自傷痕。キナさんは十年間、ただひたすらに血を零しつづけた。“死國じゅうに、血液を沁み込ませる”ために。

 舞台は整ったぞ──。


「血属錬成、“火宴かえん”」

 地に触れ、吹きあがった血色の火壁は、物理的につーと死徒のひとりを分断。よってキナさんの眼前には三名の死徒が。


「面 従 腹 背 の 徒。 名 の り は 必 要 か?」

 知っているさね、お前たちのことはよく──。

 カラスの顔をかたどった、趣味の悪いペストマスク。錬金術師史上、極最の火力をもつ、歩く戦艦。水属錬金術師、『歩霧』。


「朝刊を朝読むだなんて、怠慢とは思わない? 朝はご飯を作って、洗濯物をたたんで、お花に水をやらなきゃいけないのに。ティータイムがしたくてね、疾く雑務を片づけよう」

 饒舌。ブロンドの長髪を雑に束ねた偉丈夫。この星の“貴金属”を全種操る、八属錬金術師、『カーネル』。


「『現実は小説より奇なり』。嫌いだ。言葉が嫌いだ。自ら微々た読書経験をひけらかしてどうなる。ああ、啓蒙しよう。読書はとんだ奇跡に溢れてる」

 全身にくまなく術式梵字ぼんじの墨を入れた僧侶。耳なし芳一のようなみてくれ。彼は自らを“不死身”と称した。毒属錬金術師、『辰砂しんしゃ』。


「私 が 歩 く」

 歩霧は青の凶弾を装填。


「そうだ、おめかししよう!」

 カーネルは高密度の金属で鎧を形成。


「刮目しろ、猛読である」

 辰砂は己の墨を赤黒く空に印字。


「さぁ、血戦のときだ──」

 血戦刀、二十尺に拡大解釈、しならせ、横薙ぎ!


 カーネルの銀盾が容易くふさぐ。想定内。


「屈折!」

 標的をかえ、辰砂の心臓を射抜く。


「笑止──」

 辰砂の梵字が蛇蝎だかつとうごめき、刀を侵食した。血は有機物であるから、奴の毒性は血戦刀を“腐らせた”。


「ちっ──」

 辰砂は不死身であり、心臓を貫いても死することなく。梵字が肉体の欠損をただちに癒やす。ふざけ、どういう原理さね!


「千万」

 辰砂の反撃、肉体の墨を周囲へ拡散させる。吐き出された文字に触れてはならない。あれは人の身をいともかんたんに崩してしまう劇薬だ──。


「アタシもまぜなさい!」

 カーネル、筋骨を金属でコーティング。よって腐食文字の渦中へ身を投じてなお、「純金……、腐食耐性か!」

 躍動はとまらない。


 梵字は純金を侵食できず、辰砂は猛追を止める手管がなかった。ミンチにされ、すぐさま蘇生錬成を行うも。命令を受けた梵字は指向性を失い、カーネルの錬金術、その“材料”にされた。 


「貴金属錬成奥義、“カタリスト・クラフト”」

 触媒力にすぐれた貴金属は、梵字の腐食性を倍加させ、奴は矛先を──。


「キキ、はなからキナさんが狙いか!」

 梵字の渦、血戦刀を展開し防ぐ。もって数秒……。


 !? 


 背後、殺気──。


「血 の 姫 、補 足 」

 どいつもこいつも、モテ余す!! せいぜい──。

「よく狙うがいいさね」


 もちろん貴様への注意は一秒たりとも怠っていない。なにせ歩霧、貴様だけは、“マジでヤバい”から。


 歩霧の術式に、複雑な工程はいっさいない。水を錬成し、放つ。ただそれだけのもの。

 だが、超高圧にまで縮された水泡は、ときとして金剛石をも裁断し。さし伸べられた二本指、“物理”を穿つ──。


「奔 流」

「ぼたぼた!」


 指を鳴らし、あらかじめマーキングしていた個所に瞬間移動。先ほどまでキナさんがいた位置、「うそだろ……」空間がひずみ、歪んで見えた。


 射出された水泡は、あまりもの高威力ゆえ瞬時にプラズマ化し、大地を溶解させていた。万死の神撃を、歩霧はあまつさえ──。

「奔 流」

 連射可能! バケモノめ!?


「ぼたぼた!」

 パッチン、瞬間移動。火宴上部、俯瞰位置。おおさ、キナさんの真髄をみせてやるさね。


 血属錬成“火宴”は死國全土を領域とし、キナさん専用の“血液タンク”となる。

 さしずめ、この国はキナさんの胎内だ。


「もがけ、吐き出せ、溺れろ、苦悶! 血属錬成、“雨血うけつ”」

 ど、ど、ど、ど、ど。銃撃と同威の雨を、絶え間なく浴びせ続ける。


「滑稽」

 あぁそうさね。血を腐食する辰砂と。高密度の鎧を着こんだカーネル。貴様たちにとっては小雨にすぎないだろう細工さね。だが、破壊力にかまけて自衛がおろそかな歩霧はどうだ?


「馬鹿! 歩霧ちゃん相手に質量勝負だなんて!」

 カーネルの忠告により、警戒のレベルを最高位へ引き上げる。


「い で よ。 大 瀑 布」 

 戦場は海岸にほど近く。豊富な水源を材料に、歩霧は“大自然”を錬成した。


 陸に現れた大滝、他術師すらのみこみ、キナさんの術を無為とした。地に沁み込ませる形で成り立っていた“火宴”もとうぜん洗い流され。

「人外が……」


 手詰まり……、いいや、否だ。己は何者か? 不知火キナだ。神の落とし子として産まれ、ゆえに神を殺さんとする、『血濡れた赤子』だ。


 この程度の逆境で、止血するいわれはない。


 思考を回せ、思考を回せ、思考を回せ。星の満ち欠けより早く。銀河の荷重より深く。


「思考を回せ凡百共。大河に“血”が溶け込んだぞ」

 生きているのだろう、歩霧。貴様の水と、キナさんの血。どちらの錬成がより優位か。


「力比べといこう」

 大河に身をなげ、ひやり、脳を磨く。


 希釈されたとしても、いまだキナさんの出血は健在。錬金術は脳を誕とし、前頭前野が霊源の外殻を、今とらえた。


 イメージは第三の眼、六番感覚器でしか知覚できない“新元素”を手掴む。

 元素がつられて遊びだす。細胞もうかれて踊り出す。


 魔女にだっておぼつかない、錬金術師のみにゆるされた戯れは、恍惚こうこつの香をかもす。


 回路をのばせ、世界という名のおもちゃ箱へ。


 ──カリギリ抽出、ラスホテンシア圧縮。余分なクスルスス抜去、ケルミドを熱せ。グランファガーレを加え、裟苅さがり依異よるいへ昇華させる。


 粒の子がコロニーを形成し、その様はまさに小宇宙。

 キキ、血祭りだ。


 血属錬成“いん”。血と血は結びつき、水をも巻き込み巨大な網となる。抜け出すこと叶わず、作為に溺れて死ぬがいい。


 だが──。

「──!?」

 流し込んだキナさんの術式が、“打ち消された”。反滅錬成だ。


 気化には液化、昇華には凝華。術式と対義する反術式をもって、錬成自体をなかったことにする高等技術。歩霧や辰砂に小手先はない。……カーネルか。 


 くそ、一手遅れた。だが憂うな、構成した術式をより複雑に組み直し、反滅の阻害と“胤”の再構築。それらを瞬時に完了させ──。


「ごほっ……!?」

 万力にはさまれたがごとくの過重。グラント添加による深海並の水中圧力増加。


 歩霧の異能、間に合わなかったか! 


 肺を潰され、骨格がゆがみ、意識がまどろむ。

 カーネルは高硬度の鎧があるため圧力に耐えることができ、歩霧に加勢した。

 辰砂はもとより不死身であるから、静観を決め込んだ。


 利害は一致し、キナさんのみが不利になる。くそ……、焦るな。死までつかの間であったとて、止めるな、回せ。


 “胤”は不発。半端に終わってしまい分子構造は乱れ、術式の再利は不可。まったく益荒男ますらおどもめ。楽勝への諦念、是非もなし……。


 いつだって、血の術式は痛みを伴う。痛いのは嫌いさね。泣くのなんてごめんさね。でも、ここは水中だから。きっと誰にも知られない。


 挽回だ、賭にでよう。覚悟の所在は圧力が代筆する、歯食いしばれ、接吻だ!


「!!」

 舌、かみ切り、血液、あふれる。流したての鮮血は、神経系と共鳴し、キナさんの思考回路をうつしよに体現する。


──滾れ。


 それだけの駄計を、どれほどのほとぼりを、ただ忠実に。


 血属錬成、“歌血かけつ”。血液内の粒子を活発化させ、熱量を引き上げる術式。超高速の粒子運動は、キナさんの脳が焼き切れるまで加速し続け──、今だ。


 粒子の作用を何乗にも倍加させる新元素、“アドミニオン”。そこへ“歌血”を衝突させ、するとどうなるか──。


 血属錬成、“絶歌ぜっか”。

 ゼロの一千万分の一秒にかぎる、“クォーク・グルーオン・プラズマ”の再現。

 ビッグバン以来の超高温は、刹那、歩霧の大瀑布を気化。“絶歌”の余熱に触れることで──、“水蒸気爆発”をひき起こす。 


 ここからが賭けだ。爆発の衝撃よりも早く戦線を離脱する。さもなくば塵。


 頼みの綱、“火宴”は洗い流れた。なればこそ“マーキング”、すでに済ませた!


 キナさんは、いつから“血戦刀を手放して”いた?


 思考、不要。知覚、放棄。あらゆるを破却し、血、血、血!!


『ぼたぼた!』

 爆風により肉体は蒸発、痛みを感じる暇もなく。だがより早く、術式に霊源が走った。


 キナさんは賭けに──、勝った。


 血戦刀を媒介に、新たな肉体が錬成される。ほどなく轟音と衝撃が身を襲うも血壁で防ぐ。

「ぼたぼた」

 ここまでくれば、大瀑布外の火宴でどうにでもなる。


 水蒸気はやがて霧となり。夕焼けが差しこみ光散乱、戦場を紅く染め上げた。大量出血みたいでそそられた。


 肉体錬成にさいし省略した内臓を構築、肺を作ったところで一息。だがここは戦場。どうやら盤面は、いまだキナさんの詰みを問うらしい──。


「不知火キナ。よもやこれほどとは」

「しってたさね、辰砂。“不死身のカラクリ”は」


 梵字は間違いなく毒属性であり。であればなぜ不死性をも獲得していたのか。思考した、ゆえに理解した。


「はなから肉体など存在せず、“梵字”が貴様の本体なのだろう?」

 梵字こそが辰砂。ゆえに肉体の欠損は死に翻訳されることなく。奴の姿は──。


「あぁ、歩霧はいい。戦うことに最適化されている」

 カラス顔のペストマスク。焼け落ちた衣装の奥、黒ずんだ肌に梵字。


 辰砂は死した歩霧の肉体を、“乗っ取っていた”。


 奴は死体をおのがものにする錬金術師。


「殺す。殺すのもいい。だが、興を熱したい。しかたない、いたしかたない。話をしよう」

 時間稼ぎか……、いったいなにが目的だ? だが、あえてここはのってやる。つーの“策”がハマることこそ、キナさんの主目的であるからだ。

 時の経過はこちらとて望むところ。


「錬金術の頂いたり、なにを望む」

「息苦しいさね、この世界は。風通しをよくしたい、だから風穴を開けてやる。それだけさね」


「そうか。いい。いいじゃないか。それもまた一つの物語だ」

「で、貴様は?」


 不死を得てなお、辰砂は力をほっし、ならばなにを。


「『現実は小説より奇なり』。嫌いだ。言葉が嫌いだ。まるで現実が小説よりも優れているようないわれ。それがしの読書が、ないがしろにされている」

 興味がないとは思わない。キナさんとて錬金術師のはしくれ、知欲はあって。辰砂という未知を、心理は求めている。


「だが、非常にも世界は奇跡に富んでいた。じっさい。実際問題。不知火キナ、あなたの奮闘は、書にも御しきれない可能性だった。ゆえに逆説、思うのだ。『書よりも奇なる現実』などありえないと、信奉するそれがしだからこそ──」


 どうしてだろう。辰砂、奴の雰囲気が、ヒノエミツキとダブった。まるでキナさん達とは別次元の敵を見据えているかのような、俯瞰を見たからだ。


「この現実こそ、“書物”であるのだと。何者かがシナリオをおろした小説であり。それがしとて、物語のいち登場人物にすぎないのではないかと」


「……キキ、キキキキ。いかれてやがる。貴様、実に狂っていやがる!」


「それがしの仮定を真としたとき、“何者”かの存在はひとつしか考えられない、“神”だ。だからこそ。そう、だからこそ、それがしは力を求める。神を復活させ、真相を問うためだ」


 原初の魔女、あるいは大魔導士ノエハ。辰砂はこの世界を、神の創作物であると決め打った。じっさい、そうなのかもしれない……。


 だが、断言する、『どうでもいい』。事実はさして重要でないからだ。


 奴はキナさんと同じく、戦争の行く末など眼中にない異端。おのが利のために結末を求める怪談。

 だからこそおしい。

 仲間になれた可能性ではなく。奴の至らなさが、とてつもなくおしい。

 よって不愉快。


「辰砂! なぜその極地に至れる貴様が、“神ですら創作物”である可能性を切り捨てた!」

「!?」


 愚かな想像力、固定概念こそ、貴様が現実を受け入れられない、みじめな妄想主義者の表れではないのか。


「貴様が創作物であることは咎めない。だからといって、キナさんを貶めるのはつまらない。いいか辰砂、キナさんは、とんだ奇跡に溢れてる」


 仮にキナさんすら創作物であったとて。たぎるこの血はリアルで──。

「燃ゆるこの血はキナさんだ」


 存在証明は完了した。

 キナさんは今を生き。キナさんこそが。ま……、何者でもいいさね。


 何者かであることに縛られるなんて、不自由だろうて。


 矛をかまえろ、血戦はこれより血みどろとなる。


「血属錬成奥義、“血戦刀”」

「筋書きは整った。御開帳」

 構えられたは二本指、まさか──、辰砂の術式は、乗っ取った人間の属性を模倣する!?


 不死身でありながら“毒”を操り。あまつさえ歩霧の──。

「奔 流」


 時間稼ぎはこれが目的か。梵字が術式を読み解くまでの。

 キナさんの身体能力ではよけきれない。瞬間移動は反撃に遠く、じり貧。

 ならば──。


「ぼたぼた」

 血戦刀を屈折させ、自らの“頸動脈”を断つ。


「血族錬成“歌血”」を心臓に撃ち込み。

 普段の数乗倍の拍動を獲得、吹く出血は、“ジェット噴射”を可視化し。


「キキ」

 間一髪、奔流をかわす。


「毒属錬成奥義、“即弩駆そくどく”」

 梵字、駆ける──。


「なめてもらっちゃこまる」

 カーネルにできて、キナさんにできない道理はない。


 術式、考察。想像、起爆。爆風、加速。

「反滅術式」

 梵字の指向性をずらす。


「くそがぁぁぁ!!?」

 辰砂の拳、頬に命中。 


 キキ、キキキ。錬金術師が、“殴り”はじめたら終わりさね。

 ならばおしえてやる。


「血族錬成・奥義、“血戦刀”」

 が、なぜ優れた血属錬成の、“奥義”たりえるのか。


 頭脳戦を信条とする錬金術師であれば、武芸に頼った瞬間おしまいで。

「おしまいゆえに──」

 鍛え上げられた最奥。“奥義”の名を冠するに相応しい。


 キナさんは、この世界で一番──。

 魔術でも、錬金術でも、降霊術でも、精霊術でも、妖術でも、呪術でもなく。

“剣術”に優れた、美女なのだ。


「“絶血”」

 辰砂の首をはねる。勝った──!


「おみごと」

 背後から、声。


 振り返る。──カーネル?

「いや」


 キナさんがそらした“梵字”をうけ、カーネルの身体を乗っ取った──。

「辰砂か……」


 辰砂の時間稼ぎ、真の目的は……、カーネルの到着。

 あぁ、もうダメさね。出血で、意識が遠のく……。絶望する余力もなし。


「読了だ、それがしの勝──」

 奴のこめかみに、青の光弾が着。

『どごっ』と鈍い音を立てて、巨体が地にくずおれた。辰砂は以来、起き上がってこなかった。


 んん、どういうことだろう。なにがおこった? 知りたい。でも、もう──。

「キナお姉さん、勝ったよ」 


 もう、眠い。

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