第5話 暗黒面も最高だな!
気づくと陽の優しい光に照らされた図書館の入り口前に居た。
いったいどう言う理屈で強制転移させられたのか不明、それとも暗黒面の成せる技なのか......どんな理由にせよ、今の俺じゃ老害カルコスには敵わない。
「あの老害はいつか殺すとして、予定変更だ。」
俺は呟きながら、今後の予定を変更する。
まずは暗黒面の力を試す必要がある。
魔力を必要としない力。そんな都合の良い力が今日明日で急に扱える訳が無い。
始まりの町の周辺にいるモンスターで暗黒面の力を試す必要がる。
「っと、その前に」
俺はクエストで得たSPでスキルを取得する事にした。
スキル獲得欄を眺めてると面白いスキルを二つ見つけた。
【言語理解・魔物:魔なるモノの言語を理解する事が出来る。理解できる範囲はLvによる。必要SP1】
【目利き・骨董品:価値ある古き品を見分ける事に補正を与える。Lvにより補正が変動。必要SP3】
【言語理解・魔物】の必要SPが他より低い理由は俺の職業がテイマーだからに違いない。
この二つのスキルを選んだ理由としては言語理解はテイマーとして興味が沸いた。
目利きは単純に転売が好きだからだ。
てか、言語理解はテイマーの職業スキルに標準装備しとけよ、マジで。
それとも通訳士とかの領分なのか?
《スキル【言語理解・魔物】を獲得しました。》
《スキル【目利き・骨董品】を獲得しました。》
SPが25から21になったが、これで準備は整った。
よし、暗黒面の力を試しに行くとするか。それから始まりの町の西側にある森へ移動する。
と言うか、やっとRPGらしい事してる気がするぜ!
暗黒面絡みのクエストは当分の間はやりたくない。あれだけはマジで世界観が違う気がする。
「ピュイ!」
目の前に滑らかな青い球体が現れた。
【通常種族:
簡易鑑定結果からスライムだと事が分かったけど、簡易だからか種族しか分からなかった。
「暗黒面の力を試してやるよ。」
イメージするのはカルコスの様な邪悪な電撃。両の手の指を突き出し、意識を集中する。
さぁスライムよ、もがき苦しみ闇に溶けるがいい!
「.......」
「ピュイ...」
そんな目で見るな!いや、スライムに目は無いが、何故か呆れてる気がする。
「ピュイ!」
「っ!ガハァ...」
鳩尾にもろにタックルを食らい、地に膝を着く。
痛覚設定を下げたからかあまり痛くは無いが衝撃は受ける様だ。
「なんで.....なんで、何も起きない!」
「ピュイピュ!(コノヒトヨワイ)」
スキルの効果でモンスターの言葉が多少分かる。コイツは絶対に俺をバカにしていやがる!
「テメェ、絶対に泣かす。」
スライム相手に暗黒面の力を引き出す為に色々やって見たが全て無駄だった。
スライムのタックルを食らい続けて、気づいた時にはHPは既にレッドゾーンだ。
「ピュピュ、ピュイ(モウシヌヨ)」
怒り憎しみが感情を支配していくに比例して頭も冴えていく。
そして殺意の矛先が自然とスライムに向かう。
「ハァ..ハァ..殺す..何日掛かろうが、絶対に殺す!」
黒い靄が俺を起点に溢れ出し始めるとスライムに向かって纏わり付いていく。
これが暗黒面の力、何故か今はすこぶる気分がいい!
「ピュイ!?(クロイノナニ!?)」
「楽になれると思うなよ。糞ヤロォォォ」
黒い靄が俺の手の動きと連動してスライムを空中へと運んで行く。
「ピュ..イ(クル...シイ)」
手で絞首のジェスチャーをすると、靄がスライムを締める。
「これが命を弄ぶ感覚、最&高だ。オイ、スライム。今どんな気持ちだ?教えてくれよぉぉ」
「ピィ..イ(シニタク...ナイ)」
空中でもがき苦しむスライムが無様に命乞いをする。
「おいスライム。力が欲しいか?理不尽に抗えるだけの力が欲しいか?」
「ピュ...!(タ...スケテ!)」
「哀れだなスライム。狩る筈だった獲物に命乞いとはな。俺の眷属になれば助けてやるよ!」
「ピュ、イ...ピュ..!(ナル、ナンデモ...スル..!)」
魔物と言えど生への執着はあるんだな。いくらでも蘇るプレイヤーと違ってNPCや魔物は死んだらそれっきり。
このスライムの様子を見てるとリアルを感じる。
「アハッ!暗黒面の闇に沈めぇぇぇぇ!」
【闇墜とし】を発動した上で【テイム】も使うと闇がスライムの全てを覆っていく。
《
《テイムモンスターの突然変異が確認されました。通常種族・
《基礎Lvが2になりました。》
・・・etc
これは最高だ!暗黒面とテイマーは親和性が高い事を立証したぞ!
「ピュイ?ピュ!(アレ?生キテル!)」
スライムを覆っていた闇が消えり、水色だったスライムが内側に夜を宿した様なサファイア色になっていた。
にしても、カルコスから貰った卵以外では望んでやまなかった戦力だ!笑いが止まらないぜ!
「ㇵッハハハ、気分はどうだ?眷属よ」
「ピュイ、ピュ!(助ケテクレテアリガトウ、力ヲクレテアリガトウ!)」
さっきよりスライムの言葉が流暢に聞こえる気がしたので、ステータスを確認したら言語スキルLv3になっていた。
ふーん、基礎Lvが上がるとSPが2ポイントもらえるのか。
現状で欲しいスキルあったけな?勿体ないから溜とこ。
「まずは名前だな。うーん、これからはスフィと名乗れ。」
ちなみにスフィのステータスは以下の通りだ。
名前:スフィ Lv5
種族:
HP:80/80 MP80/80
腕力:25 耐久:24 敏捷:30
器用:30 精神:27 知識:23
スキル
暗黒粘体/暗黒接続/消化/打撃耐性/闇耐性/闇魔法/体内収納/気配感知
余裕で俺の基礎スペックより優秀だな、オイ!
てか、序盤でこのスペックは大丈夫か?比較対象がいないから何とも言えない。
そう言えば自分の基礎Lvとかが色々レベルアップしてたので確認すると、テイマー関連と暗黒面のLvも1づつ上がってた。
「ピュイ!(僕ハスフィヨロシクネマスター!)」
マスターってなんていい響きだ。支配者って感じがして最高だな!
だがスライム相手にキルされる寸前まで追い込まれたのも事実。
今より暗黒面を使いこなさなければならない。
と言うより今回は運良く暗黒面の力を扱えたが、毎回ピンチの時にしか使えない力なんて危な過ぎる。
ただ、分かった事もある。
暗黒面の力は怒り憎しみと言った負の感情で引き出せる可能性が高い。
まぁ暗黒面の実験はまた後日やろう。
「ログイン時間ギリギリだから帰るぞスフィ。」
そう言うとスフィが俺の頭に乗っかり、宿屋を目指して帰路についた。
「ピュイ!(マスターゴー!)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます