第2話 ニートってなんだよ!

「クソォッ、ニートってなんだよぉぉ!」


 キャラクター作成を終えた俺は光に包まれ、始まりの町【ファースストーリータウン】の広場に立っていた。


 そこで俺はランダムジョブも気になってステータスを確認したが....


名前:カガミ Lv1

種族:人間


HP:50/50 MP50/50  

腕力:5 耐久:5 敏捷:5 

器用:5 精神:5 知識:5


SP:10


職業:テイマーLv1

適性職業:ニートLv1


ジョブスキル

テイムLv1/無精Lv1


スキル

簡易鑑定Lv1/採掘Lv1/採取Lv1/調合Lv1/鉱物加工Lv1/装飾細工Lv1


所持金額:3000G



【ニート:労働を拒み、住処に閉じ籠る者。

  効果:拠点内での無行動の際にHP.MPを回復。Lvで回復値が変動】


【無精:無行動の際にHPを回復。Lvで回復値が変動】


 このクソゲーめ、何がニートだ!効果も拠点依存で弱すぎんだろ!


 確かに俺は不登校だが、転売で稼ぐ能力もあるのだ。

 

 せめて知能労働者にしてくれてもいいじゃないか。


 こうなればニートでも強くなれるって所を運営に見せつけて、俺をニートにした事を後悔させてやる。


「チッ、まあいい。ニート関連以外のスキル効果はほぼ予想通りだからな」


 舌打ちと共に自分のステータス考察とこれからの予定を構築をする。

 

 まずは、案の定初期能力値が低すぎる。

 

 人間種はバランス型なんだろうな。

 

 次にテイマーに関してだ。


【テイマー:魔なるモノ達を従える者。

 効果:テイム率上昇。職業Lvにより上昇値が変動。】


【テイム:確率で魔なるモノを従属させる。Lvで確率値が変動。】


 適性職業関連がアテにならない以上、現状の戦闘面はテイムを軸に戦う必要がある。

 

 だが正直に言うと現状のテイムをアテにするのは愚の骨頂だ。

 

 どう見たってテイム確率が低すぎる。


 なら生産をすればいいだろうってなるかもしれないが、それも難しい。

 

 生産には町の外で素材集めをする必要があるのだが、戦闘スキルを持たない俺がモンスターとエンカしたら即キルされて終わりだ。

 

 だが、決して詰んでる訳じゃない。


 SP(ステータスポイント)を使えば、能力値UPか新たなスキルを獲得出来る。

 

 能力値の場合は1SP=5UP、スキルに関しては結構バラツキがある。

 

 スキル獲得欄をパット見ただけでも50SPも必要なスキルがあったのだ。


 スキル獲得に関してだが実は初期獲得とSP獲得以外にもう三つあるらしい。

 

 らしいと言うのは攻略掲示板に書いてあるのを偶然見たからだ。

 

 一つはクエストやイベントの報酬での獲得、二つ目は宝箱やドロップから手に入るスキルスクロールでの獲得、三つ目はスキルに関する行動を一定期間し続けて獲得する方法がある。

 

 三つ目の一定期間って言うのが中々厄介らしく、どうやらβテスターの時に検証した奴曰く、投擲スキルをゲーム内で100時間以上掛けて獲得出来たらしい。

 

 この獲得方法は不確定な点があり、時間か回数のどっちか、あるいは両方なのかが不明なのだ。

 

 とりあえずスキルの行動獲得は余裕があればやってみるって事で。

 

 以上の点を含めて予定の優先順位を構築した。


1.始まりの町を楽しむ

2.テイムLvを上げる

3.様子を見て何らかのスキルをポイントで獲得する。

4.素材集めをしに行く

5.ニートLvを上げる 


 てことで始まりの町を楽しむぞ!


「う~ん、携帯食買って図書館に行くか....」


 人混みにまみれながらどうにか携帯食を買いお終わった俺は図書館に辿り着く。

 

 にしてもやはり人混みは嫌いだ、核を打込みたくなる。

 

 図書館に行く理由としては図書館ならゲームの世界設定や裏設定が少しは分かると思ったからだ。

 

 俺は攻略より裏設定とか世界設定の方が気になる質なんだ。


「初めまして。この図書館は24時間利用可能で簡易拠点とてもご利用可能です。注意事項としましては本を破損させた際には損害請求させて頂きます。」


 図書館に入って、万が一の為に利用規約を返却カウンターに居た司書のお姉さんに聞いたら、丁寧に説明してくれた。

 

 意外とためになる話が聞けた、簡易拠点と拠点の違いについてだ。

 

 簡易拠点はログアウトだけは出来るが、HP,MP,満腹度は一切回復されないようだ。

 

 後は本さえ大事にすれば問題ないらしい。

 

 にしても外と比較すると全く図書館には人がいない。

 

 まぁゲームの中に来てまで、読書する奇特な奴なんて少ないよな。


 利用規約を聞き終えた後はこの世界の伝記や神話に関する本を読み続けた。

 

 ある程度読んだ感想としてはどの世界も宗教や神話なんて似たり寄ったりってのが感想だ。

 

 興味深かったのはモンスターの復讐を題材にした伝記で、如何に人間が欲にまみれた愚かな生き物かが再認識できたよ。


「なんだこれ....全く読めん」 


 それからもログアウトを挟みながらひたすら本を読んだのだが、内容が意味不明なのが3冊あったのだ。


「この本には亡国の古代文字が使われてますね。読むには解読スキルを使うか、古代文字に関する研究本を読みながら解読していくしかありませんね。」

 

 司書のお姉さんに聞いたら答えてくれた。

 

 正直本の為だけにSPを使うのは却下なので、二つ目の解決策を採用する事にした。 


「やっと表題が分かったぞ!」


 あれから研究本を参考にしながら、ゲーム内日数2日掛けて表題だけは解読出来た。

 

 それぞれの題名は【明の書】【暗の書】【黄昏の書】因みに携帯食はパサパサで無味で、いい加減飽きた。


 そして更に6日掛けて最初の【明の書】を読み終えた時の事だった。

 

《古代書の解読を確認しました。スキル【解読】のマニュアル習得おめでとうございます。》


「....うそ、マジでぇ?」


 とりあえず確認が必要だな。


【解読Lv1:文字等の解読の際に補正を与える。Lvで補正値が変動】


 まずは一つ検証が出来た。

 

 まだまだ考察の域だが、マニュアル習得はスキルによって条件が違う可能性がある。

 

 少なくても【解読】は自力での解読回数1冊って事は確定だ。

 

 リアルの日数換算で2日以上かけた甲斐があったぜ。

 

 未解読の暗の書を読んでみたが劇的に変わる事はなかった。

 

 まぁLv1だし、強いて言えば前より理解速度が上がった位だ。


「終わった....」


 更に3日掛けてやっと終わった。

 

 途中から解読Lvレベルが上がったからか、解読のペースが早くなった。

 

 結果、解読Lvが13まで上っのだが....上がり過ぎじゃね?

 

 この3冊の解読難易度って結構高かったのかも知れない。


 因みに本の内容だが、【明の書】が規律と調和について、【暗の書】が力と支配について、【黄昏の書】が物事の二面性についてだ。


《チョイスクエスト:光明への導きor暗黒への導き、のどちらかを選んでください。》


「噓だろ....」


 あの3冊になんかあるとは思っていたが、まさかクエストフラグとはな。


 クエストは多分、ギャルゲーで言う所の選択肢で結末や報酬が変わるタイプのクエストって事か。

 

 なら、答えは決まってる。


《クエスト:暗黒への導きを開始します。》


 俺は調和とか規律なんて言う皆仲良くみたいなノリが大っ嫌いで反吐が出る。

 

 他に合わせるのはストレスだし、俺は自分さえ良ければそれで良い。

 

「カガミさん。お呼びが掛かっておりますので付いて来て下さい。本は私が片付けておきますので。」


 クエストの開始と同時に図書館に来てから何かあるごとに対応してくれる司書のお姉さんに呼ばれた。

 

 なんだか今日の司書のお姉さんに違和感がある。

 

 表情が乏しく、目のハイライトが消えてて不気味な雰囲気が漂っているのだ。

 

 そして俺は黙ってお姉さんの後に付いていき、図書館の地下へと続く扉をくぐった。

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