現実と仮想現実で紡ぐ俺だけの物語~VRMMOで暗黒面なニートに墜ちたので他のヤツも闇に堕としてやる!~

ナイン

第1話 キャラクター作成

「おはようございます!夜宵鏡弥様宛にお荷物を配達しに伺いました!」


 俺は笑顔で元気な配達員に挨拶を済ませて受領印にサインした。


「遂に届いた!」


 平日の今日、我が家に届いたのは頭部装着型フルダイブデバイス『リンクス』とVRMMORPG『Each Story Online』。


 いや~自分の力で金策して買ったから満足感が半端ない上に、お陰で二流程度の転売ヤーにもなれたしね。


 しかも俺はテストの日にしか学校に当校しない不登校だから遊びたい放題だ。 


 言っとくがイジメられて不登校になっている訳じゃないぞ?俺の場合うつ病っていう体裁にしてちゃんと入学式の日に学校と交渉した。


 故に俺は不登校ではなく、積極的不登校なのだ。


 まぁ医者からうつ病診断書を貰うのが中々苦戦したけどな。


 動画やサイトで調べて、うつ病患者の特徴を把握し上でそれっぽく振舞う必要があったからだ。


 まぁ結果は軽度のうつ病って言う診断書を貰えたから結果オーライだ。


 あとは全テストで平均点以上の確保という約束を親としたけど問題ない。


 俺は勉強はそれなりに出来るという自信があるからな。

 

 俺こと夜宵鏡弥の話は置いといて、今回買ったVRMMORPGゲームの話をする。


 Each Story Online、通称『ESO』。


 βテストの時は当選落ちしたが、今回はなんとか初回生産3万本ロットの応募に当選する事が出来た。


 ESOの中身の説明だがざっくり言うとスキル制とジョブ制の両方を採用しており、魔法あり、生産あり、飛行ありのPK以外ほぼ何でもアリの超自由なゲームだ。


 良くは知らないがPKシステムも条件を満たせば限定的には行えるらしい。


 流石キャッチフレーズが『あなただけの物語を』って謳っているだけの事はある。


 後はβテスター達の話によると全自動型高性能AIのお陰でバグは一切無し、アップデートも小一時間で済むらしい。


 兎に角この全自動型高性能AIが凄いらしく、ゲーム管理もAI、プレイヤー対応もAI、クエストもその場のプレイヤーの行動を参照に生み出してるとの事だ。


 これだけ言うと運営の人間が関わってない様に聞こえるかもしれないが、季節ごとのデカいイベントとかは運営の人間が企画してるらしい。


 説明書を読み終わり、10分ほどで周辺機器の設定も済ませてログイン準備に入る。

 

 説明書によると一番に気を付けなきゃいけないのはログイン時間だ。


 リンクスのアクセルシステムと連動しており、ゲーム内での1日は現実での6時間程とされる。

 

 その為、ゲーム内で1日過ごした場合は現実で1時間の休憩を取る為のセーフティシステムが発動する。


「セーフティシステム面倒だな......」


 俺からすれば現実がクソゲー故にこのセーフティシステムを疎ましく感じる。

 

 まぁ現実時間で6時間経過する前に宿屋かセーフティゾーンでログアウトすれば問題ないと言う解釈で大丈夫だろ。


 それに俺はライトノベルとかで皆が憧れる所謂攻略組とか最前線組とか言った戦闘狂プレイに興味はない。

 

 自由に冒険して景色を見たり、ものつくりをしたり、新しい発見等の好奇心を満たせればそれで良い。


 よし、説明書も読み終わったし今からログインするぜ! 


 

『ようこそ、異界の紡ぎ人様。私はアルニーナ、紡ぎ人様のキャラクターメイクをお手伝いさせて頂きます。』


ログインして目を開けると、そこは真っ暗な空間で、目の前にはまるで物語から出てきたお姫様

のような金色の美しいロングヘアーをなびかせる色白の女性がいた。


「ど、どうも初めまして.....アルニーナさんは何をしてる人?」


 話を聞くとどうやらアルニーナさんが例の全自動型高性能AIで、ゲーム的に言う所の女神って扱いらしく、アルニーナさん以外にも高性能AIは後何体かいるらしい。


 アルニーナさんの業務担当は主にキャラクターメイクのアシストとプレイヤーのマナーを監視するのが業務との事。


 アルニーナさんの身の上の話を聞き終えた後は彼女の説明に従いながらキャラクター作成を進める。


 まずは名前をゲームでいつも使ってるカガミにして、種族を人間に、と言うか初期の種族選択で選べるのが人間かエルフかドワーフしかない。


 アルニーナさん曰くゲームを進めれば種族進化や別種族への転生が出来るらしい。

 

 見た目に関してだが、面倒だから【現実参照】を押して、感覚が狂わない範囲で身長は現実より+3cmしてジャスト175cmにする。

 

 この【現実参照】だが、現実の見た目をベースにして3倍美化した感じになる。

 

 うーん、せっかくのゲームだし現実との違いを少しは出したいから髪はロングにしよ。


「これ、本当に現実の顔を参照にしてるのか!?」


『フフッ、お似合いですよ。』


 いや、顔に似合ってるとかあんのか!?社交辞令として受け止めよ。

 

 次は職業選択だけど、プレイスタイルに直結するから凄く悩ましい。

 

 俺はリアルもゲームも集団行動をする気がないので基本ソロプレイ前提のビルド構成にする必要があるので一旦考えをまとめよう。

 

 1.攻略は優先してない

 2.冒険はある程度したい。

 3.モノ作りや素材集めをやりたい

 4.人を信用してないのでソロでやりたい。


 以上の考えを纏めると生産優先で、冒険する時は拠点近くで素材集めになる。

 

 それか次点で商人とかの仲介系の職業にするかだ。

 

 戦う....戦わせる....そうだ!戦闘をアウトソーシングすれば良いんだ!テイマーかサモナーにして戦闘は全てモンスターにアウトソーシングすればいい。

 

 そうすれば戦闘スキルで悩まず、生産や商売系のスキルだけを取得出来る。

 

 しかも人間と違って好感度さえ上げればゲーム上のモンスターは裏切らないしな。


 とすると、問題はテイマーかサモナーどっちにする問題が出てくる。

 

 比較した結果だと俺的にはどっちも一長一短だが、テイマーがいいな。

 

 サモナーは臨機応変な対応力がある分MPを食う、テイマーは臨機応変な対応力には劣るがMPは食わない。

 

 ポイントは出来るだけスキル取得に使いたいからMPや腕力等のステータスは低いままになる予定だ。


 テイマーに決定したのは良いが、ステータスの職業欄の下に適性職業と言う欄があるんだが、これは何だ?


「ねぇアルニーナさん。この適性職業って何?サブジョブ的なやつ?」


『あぁ、そこはリンクスの解析機能で判断されるカガミさんにあった職業がゲーム開始時に反映されます。おまけで職業がもう一つ手に入ると思えば大丈夫ですよ。』


 要はランダムジョブって事か。

 

 ネタ職にならない様に願っておこう。

 

 次は初期スキル五つの選択だけど、膨大な量から選ばなきゃいけないけど、これはすぐに決まった。

 

 主に採取系と生産系だけどな。

 

 これでデフォルトでついてる【簡易鑑定】を含めて計6つのスキルを取得した。


「えーと、五つ選び終わりました。」


『これでキャラクター作成が終了します。最後に初回プレミアムガチャの課金をしますか?』


 なんか女神の口から課金なんて俗物的な言葉が出るのに凄い違和感あるんだが!?

 

 いや、気にしたら負けだ。

  

 基本ESOでの課金は今回の初回限定のプレミアムガチャの5000円と髪色や目の色に関するキャラクター性能に直結しない外見に関する課金しか存在しない。

 

 今時珍しいと思ったが利用料の毎月500円で元が取れるてるのであろう。

 

 俺は勿論課金するぞ?転売の利益で10万円程余ってるからな。

 

 課金の欄をポチっとすると目の前に神々しい大きなガチャBOXが現れる。


「良いの出てくれよ、オラァ!」


 掛け声と共にガチャを回すとカプセルが出てきたので、開ける。


「なんだこれ....小判?」


【招き小判:持ち主に幸運を招く】


 鑑定を掛けたら効果が判明した。

 

 ざっくりすぎんだろ!!幸運ってLUKの事か?ESOだとLUKはマスクデータになっていて詳細な数値が不明なんだよな。

 

 まぁ大事に持っておこう。


『これにてキャラクターメイクを終了します。チュートリアルは動画配信されてますのでそちらをご拝見ください。』


「了解。アルニーナさんありがとうね。機会があればまた宜しくね。」


『こちらこそカガミさんとお話できて凄く楽しかったですよ。それではカガミさんだけの物語をお楽しみ下さい。』


 アルニーナさんが話終わると俺の体が謎の光に包まれる。 

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