ケセラキ 〜「弟の義子(でし)」との「座敷わらしべ長者譚(ヘヤリー・テイル)」〜
七熊レン
プロローグ「家主とヘヤリー」
『ヘヤリー』。
それが、この家に時々、降臨する少女の呼称。
家族曰く、「儚かよわいい、座敷童子の上位互換」とか
正直、半信半疑だった。
この現代社会に、『妖精』なんてファンタジー族が
恐らく、『部屋』と『フェアリー』を掛け合わせたのだろうが。
控え目に言って、センスが
そもそもだ。
年甲斐も
二言目には『娘が
どちら発信なのかは知らないし、興味も
現役の女子高生を、そんな
しかも
というか、頭の片隅からも消えかけていた。
これは完全に、自分の人間性、死生観、
良くも悪くも、自分は両親
どうせ、何度か顔を合わせる程度だろうと。
二人が
弟の
そう、高を括っていた。
結果、思い知らされた。
自分の認識、警備の甘さ。
「……あ……」
エメラルドを彷彿とさせる、新緑の双眸。
小学生にしか見えない、か細く幼いサイズ感。
現実という枠から逸脱した、
キッチンに
改め、ヘヤリーで。
そんな彼女は、今。
肩を縮め、眉を垂らし、体をプルプルと震わせ、
こっそり設置されていた、カーテン、カレンダー、ドアなどに隠れ。
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