③教会のお手伝い――⑭
一瞬で、ヒスイのグレーの瞳が険しく歪みました。
「何で……ここにいるの……」
「言いませんでした? 今はこの街の教会に住んでいるんですよ。ここには悩みを抱えている方が多いので、少しでも手助けになれればと思って」
「教会……いい趣味してるね」
「お褒めに預かり光栄です」
どう見ても年下だろうヒスイに対して、丁寧に敬語を使う男の子。
この二人はどういう関係なのだろう。全く温かみを感じないやり取りを、アイは不思議な気持ちで見つめていました。男の子は爽やかに微笑んでいますが、ヒスイは目を合わせようとすらしません。少なくとも友達ではなさそうです。
「そうだ。木こり君。これ、丸太の代金」
男の子は、ずしりと重い袋をアイに渡しました。
想定を遥かに超えた重み。違和感を持ったアイが袋の中身を見ると、そこにはどう見ても代金を上回る量の金貨が入っていました。
「こんなに受け取れるかっ! 代金以外の分は返すっ」
「まあまあ。さっき思わぬ収穫があったことだし、遠慮しないで受け取ってくれよ。ここに来るまでの旅費だと思ってくれればいい」
「思えるかっ! 必要な分以外は要らねぇよ、ほらっ!」
袋から丸太の代金分を取り出してもまだズシリと重い袋。持ち帰れば間違いなく生活が潤うであろう大量の金貨を、アイは迷わず男の子に突き返します。
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