③教会のお手伝い――⑬
沢山のお金と林檎を手に入れた男の子は、お金と林檎をそれぞれ上等そうな袋にしまって立ち上がります。何事もなかったかのように自然な動きで歩き出したその足は、一部始終を眺めていたアイ達の前で止まりました。
「君達、今日教会に丸太を持ってきてくれる予定の木こりだろ?」
「え? 何でわかるんだ?」
「だってほら、君の腰に、年季の入った斧がぶら下がってるから。刃に木くずがたくさん付いてるし、そっちの男の子の手にも刺さってる」
アイの足元にしゃがんだ男の子は、ハクアの小さな指に刺さっていた木くずを取ってくれました。
「……ありがと」
「こちらこそ、わざわざ街まで来てくれてありがとう。俺は教会の関係者なんだ。もし丸太を持ってきてくれたんだったらこのまま引き取るよ」
「そうだったのか。わかった。すぐそこに置いてあるから、ちょっと待っててくれ」
ハクアと一緒に、アイは道の端に置き去りにしていた丸太を取りに行きます。
はぐれないように手を繋いで道端へと戻ると、丸太に寄りかかる格好で、ヒスイが蜂蜜のたっぷりかかったワッフルを食べていました。ヒスイもすぐにアイ達に気が付いて、のんびりと手を振ってきます。
「二人でどこ行ってたのー? 探すの面倒だったから、蜂蜜と遊びながら待っちゃってたー……」
「悪かったな。ちょうどそこでお客さんと鉢合わせたから丸太渡しに行くんだ。っつっても一人じゃ運べねぇだろうから……」
「あれ? お知り合いだったんですか?」
後を追ってきていたらしく、金髪の男の子が爽やかな笑顔を浮かべてすぐ傍に立っていました。その視界に、アイではなく、ヒスイを捉えて。
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