②白うさぎと黒猫――⑥

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 透けるような美しい羽根を広げた鳥が、アイの肩に下りました。ご機嫌の小さな顔を、アイの首にすり寄せます。

 鳥だけではありません。すでにアイの足元には子羊と小鹿が、背中には身軽な子猿が張り付いていました。


「……動物も、人間を見る目があるんだねー」


「モノクロ山に住んでる奴らってなつっこいんだよな。ほら、オマエの頭の上にも白い蝶々が飛んでるぞ」


 二人(主にアイ)はすっかりモノクロ山の動物に囲まれていました。脅威ではないと本能で悟ってくれたのか、アイ達を歓迎している様子です。


 その一方で、アイは気付いていました。後ろの大きな木の裏から、観察するように自分達をこっそりと見つめてくる視線に。近づいてくる気配はなく、危険な雰囲気もありません。ただ、じっと見つめられています。


「心配いらないよー……あの子が狙ってるの、僕の方みたいだからー」


 後ろの気配に、ヒスイも気が付いているようでした。

 それでも知らんぷりしつつ、二人は山の奥へと進んでいきます。

 が、すんなりとは行きません。何故なら、林檎の木が生えている方へ進もうとすると、声を上げて騒いだり、服を引っ張ったりして、動物達が止めるからです。


「何だ? 別にオレらは、林檎を根こそぎ獲ってくつもりはねぇぞ? 三つか四つ分けてもらえたら……」


「アイ……たぶんこの子達、こーゆーのからアイを守ろうとしてるんじゃないかなー……」


 ヒスイは、道の中央の、落ち葉が降り積もっている場所を指しました。

 まるで何かを隠すように重ねられた葉の山を、ヒスイが思い切り踏みつけて、すぐに足を離します。すると落ち葉ごと土が崩れ、大きくへこんでいきました。なんと隠されていたのは巨大な落とし穴だったのです。

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